" EXPERIMENTER THE STANLEY MIGRAM STORY "
監督 マイケル・アルメレイダ
出演 ピーター・サースガード *スタンレー・ミルグラム
ウィノナ・ライダー *ミルグラムの妻
イェール大学
1961年、8月
スタンリー・ミルグラムはある実験を行う
名目は
心理学者による学習プロセスの研究で
報酬や罰の効果についての調査
公募した被験者2人を実験室に入れ
1人を教師役、1人を生徒役にする
2人は別々の部屋に別れる
教師役は用意された記憶力問題を出す
生徒役は不正解すると軽い電気ショックを受ける
教師役には知らせていないが生徒役はサクラ
実際には電気ショックを受けない
電気ショックのボタンを押すのは教師役の役目
電圧は45vから誤答毎に15vずつ上げてゆく
実験開始
***
教師役が問題を出す
電気ショックのボタンを押す
120v
生徒役は苦痛を訴える (録音された声)
教師役は少し躊躇うが実験を続ける
150ボルト
生徒役は絶叫 (録音された声)
教師役はどうするか実験官に尋ねる
全問正解するまで続けてください、と促す
教師役は実験を続ける
300ボルト
生徒役は実験中止を訴える
教師役はどうするか実験官に尋ねる
実験官は重要な実験なので続けるようと促す
教師役は実験を続ける
350ボルト
生徒役の反応がなくなる
教師役はどうするか実験官に尋ねる
実験官は続けなくてはならないと促す
教師役は実験を続ける
生徒役からの反応がない場合は不正解とし
実験を続ける
教師役が最高の450ボルトを3回押したら実験終了
教師役に種明かし
これは
権威に服従する心理の実験
*
スタンリー・ミルグラムは1933年生まれ
父と母はユダヤ人
子供の頃 アメリカに渡りニューヨークで結婚
その頃 東欧ではユダヤ人が
ナチスの収容所で殺されていた
*
文明化した人間が
どうして残虐行為に走るのか
組織的な大虐殺は どのようにして起きたか
加害者たちの良心は働かないのか
*
ホロコーストの責任者アイヒマンは
ユダヤ人の国外追放や大量虐殺に関与
逃亡先で1960年に拘束され
1961年に裁判を受けた
アイヒマンは罪悪感も後悔の念も示さなかった
上官の命令がなければ何もおこなわなかったと述べた
*
被験者の6割以上が
ためらい 嘆息し 身震いしても
権威ある人が やんわり命じるだけで
生徒役が危険と知りつつ450vのボタンを押した・・・
1961年に
社会心理学を代表する模範となる実験と賞賛された
ミルグラム実験(アイヒマンテスト)で有名な
社会心理学者スタンレー・ミルグラムの研究を描く
実験は倫理的に問題があるとの批判も受けた
映画では彼の他の実験も幾つか描かれる
主役がカメラ目線でナレーションしたり
背景があからさまに かきわりだったり
映画も多分に実験的手法
人は3歳までに
権威ある者には従うべきだと学び
(多くは親から)
良くも悪くも
大人になってからも権威や集団に
簡単に服従する
服従の心理は諸刃の剣となり
自分が獲得した良心に反する権威と会った時も
自らが信じるものを疑い
自らが非難するものに縛られる
誰もが
アイヒマンの後継者に成りうる
2015年 アメリカ映画 97分
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