The Crown。ジョージ王(第二次世界大戦前に死去)からエリザベス女王に王位がバトンタッチして、激動の現代イギリス史を英国王室の内部から描く。セットも配役陣も豪華ざんまい。でも。


なんだか英国版タブロイドじゃないの、と3、4回観てからすうーっと引いてしまった初期。プリンセスの惚れた腫れたので、まあでもプリンス・フィリップ役の俳優のお尻はなんてセクシーなんて思ったのは事実ですが。



 


でもでも、また再開して、ようく観たら、チャーチル役のジョン・リスゴーはもちろん、全ての役者たちの演技がなんとも凄まじいじゃないの!人間的で、感情の機微がよくわかる繊細な演技と演出。チャーチルが肖像画を描かせる画家との、静かだけれど、心につき刺さるような激しい会話。プリンセス・マーガレットが女王に「タウンゼンドとの結婚は許せない」と申し渡されるエピソードなんて、もらい泣きがたまらなかった。


 


実はこのところトランプ政権のトラブル何やかやで、白人主体のドラマ、映画にちょっとアレルギー反応が出ていたところ。だから、このドラマの良さにすぐ気づかなかったのかな。軽薄なエンターテインメントだけに走っているドラマだと、あからさまに白人至上主義のキャスティングや、マイノリティーの描き方が相変わらず単純無知なところに、一人プンプンしていたところ。アメリカに長い間住んでいるマイノリティー人種なら、きっとこのわたしの想いには「そうそう」と共感していただけるのではないかと。


 


表面的な差別感覚はスルーしながら、それでも共感できるドラマを探さなくてはいけない。表面的な差別感覚の下で、本当は同情心のある人間を探して、話し合いながら、お互いの違いを明らかにしながら、友達を作っていかなきゃならない。メンタルな部分でハードワーク、でもこれがアメリカ。「この馬鹿馬鹿しい番組でも信じられることはなんだ?」、「これなら我慢できるかも」「これはすごいじゃないの」と行ったり来たり、期待しながらチャンネルを漂流することの虚しさ。


 


ハリウッドよ、本当に良い作品を作りたいなら、根本からの意識改革を迫られてるんだよ。頑張ってくれよ。