今回の旅は南信州1泊2日。
南信州の飯島には10年前に「1年かけて芋焼酎を造ろう!!プロジェクト」の企画ツアーリーダーをしていたことがあり、通っていた場所です。新聞で募集した一般のお客様が全国から集まり、飯島の自然を満喫したり観光や祭りに参加したりしながら、春に芋の苗を植え、夏は草刈り、秋に芋の収穫、収穫した芋を飯田の「菊水酒造」に運び酒の仕込み、冬には出来た芋焼酎のボトルにオリジナルラベルを貼ったり陶芸で焼酎用の酒器を作成した思い出の地です。
【1日目】
伊那市のシードル醸造所「カモシカシードル」を見学しました。この辺りはリンゴの一大産地です。「1年かけて芋焼酎を造ろう!!プロジェクト」の時から松川町のリンゴ農家さんにお世話になっていますが、「カモシカシードル」はそこから更に北に位置する横山という標高850mにあり町を見下ろすことができます。細い山道を上がると山小屋のような醸造所が1件ありました。入ると薪ストーブがあって、ぬくもりが感じらます。作り手の入倉さんにお話しを伺いました。入倉さんのおばあちゃまが伊那の方で、「伊那といえばリンゴ!!」その流れで自然にシードル造りを始めることになったのだとか、醸造学校を卒業後、長野北部の某ワイナリーで修行、昨年10月に酒造免許を取ってオープンした醸造所です。新しい木の香りがしました。
入倉さん
●醸造
リンゴを絞ります。
絞ったばかりのリンゴは2層に分かれてしまうので、ペクチナーゼという酵素剤を使い分離を防ぎます。
その後にシャンパン用の酵母を使用しアルコール発酵します。シャンパン酵母は発酵力が強くガスを沢山造ってくれます。独特のプラスチック材で出来た卵型タンクで醸しますが、軽くて扱いやすい、液体が対流するのでまろやかになるそうです。
20℃で約1週間醸した後、酸化防止剤の亜硫酸や酵母菌などを付着沈殿させるベントナイト(粘土剤)で清澄にし、更に4か月でシードルになります。
最後は日本酒用瓶火入れ器具で瓶火入れして酵素を止めます。日本酒の器具がここで活躍しているとは驚きです。
畑も見せていただきました。まだ未熟ですがリンゴが豊富に実っています。赤い種のリンゴはハニールージュという品種で赤い色素の果汁になります。自社と契約農家のリンゴ畑で、入倉さんも農家さんに教わりながら畑に出ているそうです。
「カモシカシードル」のリンゴは醸造用と生食用(つがる、ふじ、シナノスイートなど)の早生から晩生品種を使用し旬に合わせてアイテムを作っているそうです。
●試飲
早生種の「つがる」ベースに「祝」と「グリーンスリーブス」という品種をブレンド。シャープな酸味とドライな酒質です。
晩生種の「ふじ」と「グラミースミス」をブレンドしたシンプルな辛口です。
どれもフレッシュでアルコールが7%と低く飲みやすいのが特徴。
その後に伊那の祭りに参加してカモシカシードル以外のシードルを飲み比べしました。
シードルなかなか奥が深いなぁと思う1日目でした。
【2日目】
もともと福井県池田町で「TAKARAチーズ工房」を営んでした後藤宝さんが、長野の売木村にヤギをひきつれて移住したというお話を聞き、チーズ仲間のアテンドで伺いました。売木村は飯田を南下した山の中でとても遠かったですね~。
後藤さんは笑顔で迎えてくれました。「まずはソフトクリームを食べて」という言葉に
「はい、食べたいです」と即答でいただきました。
後藤さん
山羊特有の香りはなくキメ細かく口の中でスーっと消えていきます。初の山羊ソフト美味しかった!!
店の看板山羊
その後可愛い娘さんの案内で放牧地へ向かいました。のびのび過ごす山羊は幸せそうです。性格や草の好みが違うので、観察が面白いですね。現在は山を開拓し新しい牧場づくりの真最中でもあり、そちらも見学させてもらいました。
もともと福井ではチーズコンテストで金賞を取るほどの実力を持つシェーヴルチーズを造っていたのですが、長野ではまだチーズ造りは再開できていないそうです。今後はソフトクリーム、ヨーグルトの他チーズも村の特産品になる予定ですよ。楽しみですね~。