昔、『NHKはもういらない!』(三一書房)という本を書いた元アナウンサーがいた。釧路、前橋、山形などの地方局を転々としてNHKらしからぬ番組を制作、自演していたので上層部から煙たがられていた。退職後に上記の本を出版した。その人の名は行宗蒼一。著者略歴に、東京都出身、早大政経卒、中小企業診断士とあった。


幼いころの私は、この「中小企業診断士」という資格名から、「ある企業が中企業か小企業かを判別する仕事」を想像してしまった。

たとえば、次のような感じ。

顧客「ニコニコ建設は中ですか小ですか」

中小企業診断士「あそこは、うーん、中企業」

顧客「じゃ、ホロホロ製菓は?」

中小企業診断士「あそこは・・・・小企業かな」

顧客「じゃ、カマクラ製鉄は?」

中小企業診断士「ちょっと待ってて、う~ん、あそこも”小”」

顧客「じゃ、チガサキ造船は?」

中小企業診断士「そうね、だいたいね~、あそこは”中”」

という具合に。世の中には変わった職業もあるもんだな、と。


大学生になって、ドラッカーやピーターズの本を読んだり大前研一の講演を聴いたりするようになって、経営学とか経営コンサルティングに関心を抱くようになった後に、この長い名前の資格が経営コンサルタント資格であることを知った。しかしこの資格を取りたいと思うどころか興味自体を全く持てなかった。なぜ「中小企業」というセコイ限定を名に冠するのか理解できなかったし、コンサルタントになるのに資格が必要、というのも変な感じがした。似たような資格であるMBAほど話題にもなってなかったし。


大前研一のように原子力発電の技術者として一流の腕前を持っていながら活躍の場が与えられず挫折、やむなくコンサルタント業に流れてくる、とか、そういう経緯のほうがナチュラルだと思った。コンサルタントを目指す大学生などというのは「安易にメタレベルに立ちたがる小僧」という感じで可愛くない。可愛くない、というのは・・・・、たとえば小学生の卒業文集には「将来の夢」などというコーナーが必ずあるが、そこに「野球評論家」などと書いてるガキがいたら、「まだ子供なんだから選手目指せよ、可愛くねえなぁ」と思う人が多いのではないだろうか・・・・それと同様のことだ。実際、ピーターズの『経営破壊』では、コンサルタントを目指したりピーターズに憧れたりしてるような学生が軽侮の対象として槍玉に挙がってた(笑)。


大学卒業後もマネジメント思想への興味は持続したが、「中小企業診断士」とかいう資格については、存在そのものを忘れていた。ところが最近、書店でこの資格への入門書を立ち読みして、入試案内に羅列してある受験科目の並びを見て考えが変わった。この資格、俺のためにあるんじゃないの?とまで思うようになった。

コンサルタント用語で「フレームワーク」とか「MECE(モレなく、ダブりなく)」というのがあるようだが(例、ポーターの5フォース、コトラーのマーケティング4Pとか)、一次試験の七つの受験科目(経済学・経済政策、企業経営論、財務会計、経営法務、運営管理、経営情報論、中小企業政策・経営)は、モレも無いしダブりも無い、見事なフレームワークのように思える。


そういや、勝間和代さんも、この資格がまだ鉱工業、商業、情報の部門別に分かれてたころに、情報部門で取得してるね。有名人(?)では行宗さんと勝間さんだけか?

ブザン公認のマインドマップ本書いてる何とか美樹という女が浮上してきそうだけど。


http://www.tohdamikio.com/2009/06/post-aa2c.html

http://blog.goo.ne.jp/susumuhasegawa/e/5bc312e90055602806161a8ab9f7c081

http://brand-design.seesaa.net/article/121130143.html

ここ↑にTBしました。