今年で五年目となる、冬のイ草の田植え実習のため、先週11/26~30日まで、熊本県八代市に行ってまいりました。
今年は前日入りし、イ草インテリア商品の仕入れ先でもある福岡の㈱添島勲商店を一人訪問して参りました。
↑添島勲商店は、染色した「国産イ草」で「花ござ」や「イ草小物」などの国産イ草インテリアに力を注いでおられます。
添島さんで使用するイ草の仕入れ先も、イ草の作付が大変減少してきてしまっている福岡県&佐賀県をはじめ熊本県。
評判は前々から産地で聞いておりました。
担当の方と色々お話させていただき、あっという間に時は過ぎ・・・。
翌朝、全国各地より集まった、畳屋道場仲間と合流。
なにげに双方英語ペラペラ・・・。
さらに大阪より多忙の中駆け付けた、関西弁ペラペラの㈱尾山畳店・尾山のアニキと合流。
今回の田植え実習は参加者計4名と、少数ながらも元気よく八代千丁町行きの列車へ乗り込む。
今年ホームステイでお世話になるのは、私が初めて八代に行った際お世話になった方でもある下永辰也さん宅となりました。
親分肌の下永さん、色々とイ業関係の役員もこなされております。
下永さん「シリーズ 日本農紀行 ふるさとに生きる 熊本県編全編」にて出演されております。
初日と二日目は苗床に出て、植えつける為の苗の「掘り起こし」と、苗の「たたき」をひたすら行いました。
↑写真は掘り起こした苗の束。
↓以下の写真は今まで過去五年間、撮りためてもらった写真を混用しています。
↑苗のたたきは、根についた土を落とす作業で、振動する機械で土落としを行うわけです。黙々と続けて行く内、掘り起こした苗の根にガッツリついている土が重く感じてきて、中々の労働。
今年は連日の長雨で泥が乾かず、水気を含んだ土が根に粘りついている状態が続き「たたき」の作業が遅れている様子でした。
土が乾いていないと、根についた土が落ちにくい。
下永さんの奥さんは、この作業が一番苦手のようです。
↑三日目に、ようやく苗の植え付けが始まります。
下永さん宅は「手植え」。
元イ草農家だった、助っ人のベテランのおばちゃん方も数名加勢し、楽しい雰囲気で作業が開始します。
今回この田んぼを植え付けする方は、私&下永さんの奥さん&下永さんのおじいちゃん他総勢6名。
雑用をこなし、一人遅れて植えつけの列に加わりました…。
話をしながらもサクサクと植えつけていく、ベテランの植え付け職人のおばちゃん方。
イ草の手植えは周回遅れになった人が、抜いた人と並んだ時点で植えつける列を変わるルール。
私も初めて植えつけに伺った数年前は、足腰がバキバキで次々周回遅れを味わい、何十歳も年上のおばちゃん方に抜かれ、挫折感を味わった思い出があります・・・。
↑足腰にくる田んぼでの手植え。
初めて手植えを体験した人の多くは、田んぼの上でおそらく写真のような表情になるのではと思います。
逃げ場のない田んぼの真ん中で、何度も何度も・・・。
慣れているとはいえ「おばちゃん方より体力無いのかよ」と。
そこで「今年は周回遅れにならないように」と目標を決めてきました。
足腰も少しは鍛えてまいりました。
元気なベテランのおばちゃん達とは裏腹に、一人ひそかに闘志を燃やす私・・・。
自分の中では、もはや競技。
今回植え付けした田んぼは、長さ110m。
何とか一本植え付け、二本目に。
一本植えつけると、すでに足腰はカクカクです。
一本終わってからの二本目、これが効く・・・。
黙々と流れる時の中、二本目の列も中盤にさしかかる頃、前方遠くに世間話を挟みながら少しずつ迫りくるおばちゃん方・・・。
着々と距離を縮めてくるベテラン二人に、心が折れそうになる私。
後どの位で二本目が終わるのかと、何度も後ろを見る。
半面、少しづつ距離を詰めている、対戦相手の一人でもある下永さんのおじいちゃん相手に、多少充実感を感じる自分。
でも、対戦相手が60~70代の御年配の方々って?と頭をよぎる。
でもこれが現実でした・・・。
気を取り直し、周回遅れにならないようにまた植え始める・・・。
幾度となく体重移動し、腰を伸ばし、何とか二本目を植え、午前の部終了。
昼食をいただき、体を横にすることもなく直ちに午後の部開始。
この時点で「ちょっとまってくれよ」と内心思いながらも、意外と午後になると体も慣れてきてか、午前中の二本目を植える時よりも気持ち楽に進む・・・。
あくまで気持ち。
三本目を植え、残りのちょっとした部分を植えて皆の力を合わせ、一枚の田んぼの植え付けが完了しました。
今年のイ田植えはとても寒く、仙台空港を出た時と熊本に着いた時がほぼ同じ体感気温でした。
過去には裸足で植え付けしたこともありますが、今年は指先も寒さで硬くなりがちで、手袋着用&防水ブーツ着用での参加でした。
年々多くの全国各地の畳屋さんが、産地を訪れている模様。
農作業を身を以て体験し、畳屋として今まで知らなかったそれを各地に持ち帰って消費者のお客様に伝える、素敵な事。
私的には10年通うと決意し、今年で五年目ですが、五年目となると経験も増え、できるだけイ草農家さんの力にならないとなとは思い、今年のイ田植えに参加しました。
畳の重要な材料であるイ草。
それのベースとなるイ草の植え付け。
わたくし的に今年の目標でもあった、田植え中の周回遅れはなんとか免れ、多少充実感を感じ帰路に着いた2015年の冬のイ田植えでした。
今年も残りあとわずか。
がみださんば!