2023年に通年で、1987〜1993年の間に運転開始されたドイツ・オーストリアを走るユーロシティの歴史を振り返りました。その参考にしたのが、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenというドイツ語本であり、この続編がDie EuroCity-Zuege: Teil 2: 1993 bis 2020 として出版されています。そのため、引き続き私の後学、備忘を兼ねて原文訳を補足しながらまとめていきます。位置づけは前回に続き第2編となります。

 

第2編の34回目は、ロベルト・シューマン号を取り上げます。

EC Robert Schumann

 

(以下本文を参照に日本語訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

ロベルト・シューマン(1810~1856年)ドイツ・ロマン派の作曲家、音楽評論家、指揮者。

 

 2015年12月13日より、既存のユーロシティ列車EC174/175にロベルト・シューマン号という列車名が命名される。なお、このEC174/175には、ハンガリア号(1993年5月23日〜1997年5月31日)、コメニウス号(1997年6月1日〜2000年5月27日)、アロイス・ネグレッリ号(2000年5月28日〜2003年12月13日)、ヤン・イェセニウス号(2007年12月9日〜2015年12月12日)とそれぞれの列車名がついている。

 

 ロベルト・シューマン号は基本をČD客車で、増結分はDB客車で運行。まずプラハ本駅着10:10したEC282 スロヴェンスカー・ストレラ号が折り返しロベルト・シューマン号として北上。短い折り返し作業17分後、ČD-371型電気機関車牽引でEC174としてプラハ本駅発10:27。なお、プラハ〜ベルリン間には2時間おきにユーロシティ列車が設定されており、一部はハンブルク、ブダペスト(ハンガリア号)まで運転されている。

 あらためて、EC174としてプラハ本駅を出発後、他のユーロシティ列車と同じ停車駅を経由。プラハ・ホレショヴィツェ駅、ウースチー・ナド・ラベム、ジェチーン、 バート・シャンダウ、ドレスデン中央駅(12:44着/12:54発、DB-101型電気機関車に交換)、エルスターヴェルダ、ベルリン・ズュートクロイツ駅、ベルリン中央駅(14:48着/15:06発)、ベルリン・シュパンダウ駅、ヴィッテンベルク、ルートヴィヒスルスト、ブーヒェン、ハンブルク中央駅を経て終点のハンブルク・アルトナ駅着17:24、所要時間6時間57分。

 その後、共通運用ローテーションでEC179 アロイス・ネグレッリ号(ハンブルク・アルトナ駅発14:37→プラハ中央駅 21:28着)、DB客車はハンガリア号にバトンタッチ。 

 対向EC175 ロベルト・シューマン号(ベルリン中央駅発13:00→プラハ本駅着17:28、表定速度87km/h、走行距離388km)は、EC178 アロイス・ネグレッリ号(プラハ本駅発6:27→ベルリン中央駅着10:58)からのバトンタッチとなるローテーションで運行。加えて使用編成の効率運用のため、ブラチスラヴァ行きのEC283 スロヴェンスカー・ストレラ号 (プラハ本駅発17:52→ブラチスラヴァ中央駅発21:15)も同日夕刻の運用に加わる。2016年12月11日からは、DB増結客車はなくなり、運行ダイヤは分単位での変更のみ。加えてユーロシティ ロベルト・シューマン号が組み込まれる共通運用ローテーションも変更となった。 これにより、IC2070/2071、EC176/177 ヨハネス・ブラームス号、EC178/179 アロイス・ネグレッリ号、EC282/283 スロヴェンスカー・ストレラ号の組み合わせになった。

 

 2018年6月11日より、ČD-193型電気機関車(シーメンス製・ヴェクトロン)は、DB内の走行にともなう必要な認可手続きと運転士訓練を無事終了した後、従来はドレスデン中央駅での機関車交換をなくし、ロベルト・シューマン号の全区間で牽引。最新の高性能電気機関車で牽引することで、EC174はプラハ発時刻を10:33に繰り下げされても、ハンブルク・アルトナ駅着時刻はそのままに17:24とした。なおドレスデン中央駅での停車時間はわずか5分(12:50着/12:55)に短縮した。これで所要時間はわずか6時間51分に短縮され、表定速度は99km/hに向上。対向EC175でもドレスデン中央駅での機関車交換が省略されたため、ベルリン中央駅とプラハ本駅間の388kmをわずか4時間05分(ベルリン中央駅発13:19→プラハ本駅着17:24)で結ぶ。

 

2018年12月9日のダイヤ改正で、EC174/175はロベルト・シューマン号の名称を失い、プラハ〜ベルリン路線の他のユーロシティ列車同様、ベルリナー号に改称されて運行される。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

2017/18年冬ダイヤ

コンパートメント客車(2等のみ)、オープン座席車(1等、2等車)、食堂車

チェコの客車列車、途中増解結なし

 

今回は以上です。

 

 

参考資料:

・Die EuroCity-Züge: Teil 2 1994-2020 /Jean-Pierre Malaspina, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)