しばらくの間、JR西日本で現在も運転されている企画列車「かにカニエクスプレス」の一派、ならびにそれ以前からの「かにシーズンの臨時列車」の運転の歴史を振りかえります。

 

冬の日本海の味覚、かにを目当てにグルメ客向けに設定された臨時列車は京阪神エリアにお住まいの方にはおなじみと聞いております。そして、今回は、かにカニ香住号の運転歴史を振り返ります。これまで紹介してきた大阪発と一線を画して京都発で設定されています。

 

かにカニ香住

あらためて、列車名になっている香住という土地について触れておきたいと思います。ブログ筆者も未訪問の場所ですが、ここは兵庫県にある町であり、この列車の運行当時は香住町と呼ばれていました(現在は香美町香住区)。日本海に面した港町で、夏は海水浴、マリンスポーツで賑わい、冬は本稿でも取り上げる松葉カニの水揚げを目当てに各地から観光客が押し寄せる町です。なお、山陰本線の名所である余部鉄橋は香住駅の一つ西の駅である鎧駅と、さらに一駅西の餘部(あまるべ)駅の間にあります。

 

 かにカニ香住号以前にも、京都からのカニシーズン列車として、味めぐりタンゴエクスプローラー号が京都〜(当時の北近畿タンゴ鉄道経由)〜豊岡間で運転されていました。これは定期列車であるタンゴエクスプローラー号を基にした臨時列車でした。この列車がはじめて設定されたのは1999〜2000年シーズンですが、ほぼ同じ時期に山陰本線京都口(ぐち)での大きな出来事として、1999年10月の舞鶴線電化開業で山陰本線・福知山線経由で丹後地方に向かう優等列車の大幅見直しが挙げられます。

 その影響でタンゴエクスプローラー号が京都発着から新大阪発着になり、京都発のかにシーズン列車の見直しが入り生まれたのがこのかにカニ香住号であり、列車名を新たに北近畿タンゴ鉄道非経由で豊岡、それ以降の香住とを結ぶ臨時列車が設定されました。

(なお、味めぐりタンゴエクスプローラー号も途中運転区間が変わっていますが、それは別項で触れます)

 

 5シーズン運転された実績がありますが、通期で変わらず京都〜香住間で運転されており、使用車両は最初の1シーズンを除いて、波動用のリゾート&シュプール用、またはエーデル鳥取号用キハ65形が運用就いていました。最初の1シーズン目はかにカニ北近畿号で波動用のキハ65形編成が使用されていたため、苦肉の策としてキハ181系が投入されたと見てよいかと。

 

 運転ダイヤについては、他のかにシーズン臨時列車同様、土休日の毎日1往復しており、ダイヤだけを見ると、かにカニ香住号の往復利用で京都から日帰り会食も可能だったと推察します。些末ながら、運転期間について、2000〜01年シーズンに限っては1〜2月は平日も運転されていましたが翌シーズン(01〜02年)には土休日のみに「戻されて」います。この変化だけを見れば平日運行分か供給過剰が理由だったと推察します。とはいえ、大阪からのかにカニはまかぜ号は運転開始以来、1月〜2月のハイシーズンは毎日運転される需要があるわけですから、エリアによる需給バランスの調整の難しさを勝手に感じています。

 

 

  シーズンごとの運転状況

全シーズン共通

運転区間(京都〜香住間)、全車指定席

11月〜3月の土休日を中心に運転(年末年始除く)

 

 列車種別と運転区間

運行シーズン 列車種別
1999〜2000年 特急 京都〜香住間 山陰本線経由
2000〜01年 特急 京都〜香住間 山陰本線経由
2001〜02年 特急 京都〜香住間 山陰本線経由
2002〜03年 特急 京都〜香住間 山陰本線経由
2003〜04年 特急 京都〜香住間 山陰本線経由

 

 

 往復の始発・終着駅発時刻と所要時間

運行シーズン 始発・終着駅発時刻と所要時間
1999〜2000年 京都発 9:00→ 香住着12:30(3時間30分)●
香住発16:05→ 京都着19:42(3時間37分)●
2000〜01年 京都発 9:00→ 香住着12:30(3時間30分)★
香住発16:02→ 京都着19:15(3時間13分)★
2001〜02年 京都発 9:00→ 香住着12:30(3時間30分)●
香住発16:04→ 京都着19:15(3時間11分)●
2002〜03年 京都発 9:00→ 香住着12:03(3時間03分)●
香住発16:00→ 京都着19:15(3時間15分)●
2003〜04年 京都発 8:36→ 香住着11:45(3時間09分)●
香住発15:58→ 京都着19:15(3時間17分)●

運転日パターン:★土休日運転(1〜2月の指定期間は平日含んで毎日運転)●土休日運転

 

 使用車両・編成

運行シーズン 使用車両
1999〜2000年 キハ181系(京都車)4両
2000〜01年 キハ65形(旧エーデル鳥取)4、または5両
2001〜02年 キハ65形(旧エーデル鳥取)5両
2002〜03年 キハ65形(エーデル&リゾート)6両
2003〜04年 キハ65形(エーデル&リゾート)6両

※運転日よって編成両数の増減の可能性があります。

※使用形式については、当時の雑誌、ならびにインターネット上にアップされている写真などから判断しておりますが、運行実績をすべて網羅したものではありません。

 

本日は、以上です。

 

参考ページ:国鉄キハ65形気動車(Wikipedia)

参考資料:JR時刻表、JTB時刻表(各年)、鉄道ダイヤ情報(臨時列車運転情報)、国鉄・JR列車名大事典 寺本光照著 中央書院、列車名変遷大事典 三宅俊彦著 ネコ・パブリッシング

写真:Frickrのリンク