Trans Europ Express(TEE)を、当時のトーマス・クック鉄道時刻表の紙面から振り返る企画です。
15回目は、メルクール号(Merkur)号です。この列車が語り草になるのは、デンマークに乗入れた唯一のTEE列車であったことでしょう。同時に、当時のデンマークへは途中フェリーに積み込みされる必要があり、この点でも特異な歴史を有する列車と言えます。
列車名の由来は?
ローマ神話に出てくる、旅人や商人の守護神メルクリウスとのこと。このメルクリウスは英語名がマーキュリーとなります。
運行されていた国 西ドイツ、デンマーク
運転時期と区間
1974年5月26日〜1978年5月27日
シュトゥットガルト − ケルン - ハンブルグ − コペンハーゲン
その後、インターシティ、ユーロシティ−に継承される
前述のドイツ〜デンマーク間航送について。ロービュー(Rødby)〜プットガルデン(Puttgarden)間を図示したのが下記地図の赤点線区間。
Michael Bienick, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons
ドイツ・デンマーク間の航走区間は、俗に「渡り鳥コース」と言われるヨーロッパ鉄道旅行のハイライトとして語られていた時期もありましたが、ドイツ〜デンマーク間の橋梁・トンネルの開通によって主要列車が陸路(オーデンセ)経由となり、2019年〜20年の冬ダイヤで渡り鳥コースでの国際列車運行はなくなっています。
使用された車両、編成
客車列車
【西ドイツ】
ラインゴルト型客車
運転開始の1974年から基本編成は下記の通り。
シュトットガルト〜コペンハーゲン 1Ap+1A
シュトットガルト〜ハンブルク 4Av+Ap+WR(食堂車)
シュトットガルト〜プットガルデン 1Av(時期によりコペンハーゲンまで延長)
週末のケルン発着時:3Ap+AR(1等・バー合造車)、コペンハーゲンに1Ap+1Av
※運転日によって編成両数の増減あり。
牽引機
【西ドイツ】
103型交流電気機関車
シュトゥットガルト〜ハンブルク間を担当。
221型ディーゼル機関車
ハンブルク〜ドイツ側のフェリー積み下ろし駅プットガルテン間を担当
【デンマーク】
MY型、またはMX型ディーゼル機関車
デンマーク側のフェリー積み下ろし駅ロービュー〜コペンハーゲン間を担当
実際の時刻表紙面
今回は以上です。
すでに取り上げたTEE列車の一覧ページです。こちらもご参考ください!
参考資料:
・Cooks Continental Timetable August 1969 ほか
・Das Grosse TEE-Buch 40 Jahre Trans-Europ-Express /Jörg Hajt/HEEL 1997年
参考サイト:TEE、インターシティー(ドイツ)、渡り鳥コース、Merkur (train)(ともにWikipedia)、welt-der-modelleisenbahn.com
ページ内写真:103系機関車 Benedikt Dohmen (user: Benedictus), Archiv-Nr. 12/10, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, ウィキメディア・コモンズ経由で
カバー画像:Deutsche Bahn AG, converted by , Public domain, via Wikimedia Commons