日本で初めての歯科医師は大分県中津市出身の小幡英之助という人でした。

明治2年、二十歳の時に親戚を頼り上京し、慶応義塾に入学、同郷出身の医師に師事しました。

さらに当時来日していたアメリカ人の歯科医師セント・ジョージ・エリオット氏から歯科を学びます。

それまでの日本の歯医者と言えば「入れ歯師」や身分の高い人のかかりつけであった「口中医」と呼ばれる人々でしたが、小幡英之助は西洋式の歯科医学を習得したのです。

 

当時の日本は明治維新後間もない時代、欧米式の諸制度を取り入れることに躍起になっていました。

医療の世界でも明治7年に、医師が新規開業する際に試験を受けパスしなければいけない制度が始まります。

ただし、歯科医師の試験はありませんでした。小幡英之助は歯科試験を受けたいと申し出ます。

主催の大学はこれを受け入れ、翌年明治8年に日本初の歯科医術試験を開催、小幡は歯科医術開業免許を得ました。

 

医学の他に当時はまだ新しかった歯科も学ぶ向学心、無い制度は説得して作らせる情熱、さすがパイオニアですね。