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マーロールのブログ

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ここガルドラには、太古の昔から伝わる《闇龍アルエス》が、それぞれの住処を持つ十属性の龍魔族達を苦しめていた。彼は魔道族の領主、キアの体を乗っ取り、魔界中を支配しようと企んだ。が、砂龍王女リタ姫とその仲間達の活躍により、アルエスは滅び、ガルドラの全魔族達は笑顔を取り戻した。


そして数週間後。――


リタは、長旅と日頃の公務の疲れを取るために、昼寝をしていた。その時、ドアの向こうから、彼女を呼ぶ声がした。


「殿下。私です、ジオです」


リタは、乳母のジオの声で目が覚めた。彼女は欠伸をして、廊下に出る。


「ジオ、何の用だい? 手短に頼むよ」


彼女の頼み事を遮り、ジオは話し始める。最初は楽しかったものの、途中でリタは、自分の乳母であるジオを疑った。


(この魔族、本当にジオか? おかしい……。本当の彼女なら、私達父娘の話を簡単に遮らないはずだ)


リタは乳母を疑うあまり、彼女の顎にセイント・ウェポンを突きつけた。


「お前、ジオじゃないな。本者の彼女は、どこにいる? 答えろ!」


リタの声に反応するように、偽者のジオは急に、ふふふと笑う。


「流石だね。お姫様、あんたにだけ、特別に正体を明かしてあげるよ」


そう言いながら偽者は、自ら変装を解く。


「僕の名前はリゲル。人間界ゼテロイドから来た人間さ」


そう言うと少年は、リタの前から立ち去ろうとした。ふと、彼はまたリタの方を向き、「お姫様、あんたの乳母――ジオはこの《砂属性メダル》に封印したから。取り返したかったら、ゼテロイドにおいで」と言って、今度こそ彼女の前から立ち去る。


(さっきの男の子――リゲルと言ったか……。ジオを捕えるなんて……)


リタは不安になり、部屋を出て、廊下側の窓から国民達を眺める。その時、彼女は恐ろしい光景を目の当たりにした。なんと、国民達が、石像に変えられていたのだ。


(酷い。一体、誰がこんなことを。とにかく、謁見の間に行ってみよう。父上なら、何か知ってるかもしれない。このままだと、国民達が危ない!)


リタは部屋に戻ると、机の上にある扇と白い表紙の本を持った。そして、本棚の隙間に白い本を差し込む。こうすることで、東側の飾り棚が右に動き、父親のランディー王の部屋への道ができるのだ。これにより、謁見の間への近道もできた。が、実質、父王の許可なく部屋に入ることになるので、リタは申し訳なく思っていた。


(まさか、門番や近衛兵も石像に?)


リタは謁見の間まで、走って行った。案の定、その部屋の表で番をしているディフレンまで、石像化している。一体、誰の仕業かと思いつつ、リタは謁見の間の扉を開ける。謁見の間の中では、ランディー王が玉座に腰掛けたまま、人間と戦っている。娘が来ている、と感じたのか、王は人間から目を逸らす。


「リタ! こっちに来てはならない。早く逃げるのだ!」


王はリタを促す。


「父上、大変です。先程ジオが、その青年の仲間に攫われました」


娘の報告を聞き、王は少し驚く。


(何? ジオが……。もしかすると、彼らが国民達を石像に変えたのか?)


王が考えていた時、リタが青年の体を掴み、視線が彼女の方を向くようにした。


「リタ、冷静になりなさい。無茶をしてはならない」


王はリタを叱った。が、彼女は父に反発する。


「何を言っているのですか? 自分の乳母が誘拐されたというのに、冷静になれませんよ!」


娘に意表を突かれ、王はしばらく考えた。


(リタ……。闇龍との戦いで、少しは大人になったと思ったが。あれほど何回も『憎しみを持ってはならん』と言っているだろう)


王が悩んでいる間に、ドスン、という音がした。リタが青年に押し倒されたのだ。


「いきなり、何を……」


リタがそう言いかけた時、青年は布を彼女の口に当てた。


(い、息ができない。まさか、窒息させる気か? それとも、毒殺か? だんだん、意識が……)


リタは気を失った。その隙を見て、青年は彼女を砂属性メダルに封印した。


「リタ!」


ランディー王は、涙を浮かべながら娘の名前を叫ぶ。


「青年よ、リタに何をした?」


「安心しろ。死んではいない。あんたの可愛い娘を封印しろと、アノデュース帝王からのご命令でね。ついでにあんたも封印しろと、ご命令を下されているのだ」


「何?」


王は驚きのあまり、それ以上の言葉が出なかった。


「もしあなたが拒んだら、姫様の命はありませんよ」


青年は、妙に改まった口調で王に言う。


「わかった。私もその《人間界》とやらに行こう。一人娘の命が助かるのなら。ただし、条件がある」


王は緑色の目でまっすぐに青年の顔を見つめ、冷静に話を進める。


「私をどうするかはお前達の勝手だが、リタは殺さないでくれ」


「なぜだ?」


「あの子は、次期王位継承者だ。将来は私の跡を継いで、女王になる」


「なるほど。帝王が注目されるのも、わかる気がする」


青年は独り言を言った。彼はリタの時とは違い、ランディー王の腹を三発蹴って気絶させた。彼が気絶したとわかると、青年はメダルに封印する。その後、どこかに電話をする。


「こちらエアーロイ。任務完了。只今より、帝国に戻ります」


「了解。よくやった、ハンター・エアーロイ」


謎の男と連絡を取り、ハンターと呼ばれた青年は、静かに帰っていく。城内には王がいなくなった玉座、姫がいなくなった部屋、そして兵士や国民の石像だけが残る。