第十四話:最後の龍戦士(第四段落目) | マーロールのブログ

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力ではなく話し合いだけで、金属性の魔道師ラドフィスを神殿から追い払うことに成功したリタ達。強力な結界が張られた理由について多少の疑問が残るものの、五人は金龍神レグルスの祭壇がある部屋に入った。


ここにも、金龍神レグルスの石像が彫刻のように置かれている。


一見金色に輝いて見えたのは、石像の上顎の部分と下顎の部分との間に挟まるようにして置いてあるナックルだった。五人の頭より三メートル上の高さにあったが、その位置は彼女達にとってはよく見える範囲である。


「あれが、最後の武器かな?」


「まさか」


「口を挟むなよ、スーザン」


スーザンはヨゼフをからかいながら、バッグから金塊を取り出す。その金塊は普通の物とは思えないほど、眩しく輝いている。


「もしかして、これが……」


ペレデイスが興味津々な目で、金塊を見ている。スーザンは黙って頷く。


「そう、これが《聖なる金塊》よ。これを年に一度、ここに持ってくることで、金龍族及びその他の種族の民全員の願いが叶うとされてるの」


ジンクスのような話をするスーザンに、四人はただ驚かされるばかりだった。彼女が金塊を祭壇の上の煌く水晶玉の前に置くと、それは眩しく輝く。その光は、金龍神レグルスの加護を受けているようだ。


すると、水晶玉から不思議な声が出てきた。


『砂龍王女リタ姫、とうとう最後の龍戦士を連れてきたね?』


金龍神レグルスと思われる男性の声に話しかけられ、リタは首を傾げる。


(それって、まさか……)


ふと、リタはスーザンを見やった。


『そう、その子だよ。僕が求めてた《新たな金龍戦士》は』


それを聞いた時、五人は目を丸くした。


(わ、私が新たな金龍戦士?)


スーザンはまだ、金龍神が言ったことを信じられなかった。金龍神は尚も、彼女達の心を読んでいるかのように振る舞う。


『君はスーザンと言ったね? 君のことは、君自身が生まれた時からずっと見守ってたよ。この十四年間、君は敬愛の心を忘れなかった。だからこそ、僕はここに君を導いたんだ。このナックルを渡すためにね』


そう言って金龍神は、まばゆい光と共に、爪のような形をしたナックルをスーザンに手渡す。スーザンは早速、ナックルを手にはめた。彼女の手首に巻きつけられた水色のゴムが、かなり窮屈そうに見える。


『今はかなり窮屈そうだけど、じきに慣れてくるさ』


そう言うと金龍神レグルスは、水晶玉からスーザンに語りかけるのを止めた。


「これで、龍戦士は全員揃ったね」


ナンシーは、ほっとしたように言った。


「そうだね。でも、まだ安心するのは早いよ」


「そうだね。僕達の真の敵はアルエス。ここで、気を抜いちゃいけない」


五人は気を引き締め、メルディーンの町に戻った。――



金龍神レグルスの神殿での冒険を終え、リタ達は役目を一つ果たした。


(龍戦士が全員揃ったから、後はヒア達と合流して、その足でフィブラスに帰るだけ)


リタは肩の荷が一つ降りたことで、安心感を持っている。メルディーンの族長邸の前には、オルファニス族長とその息子のディート、そして屋敷中の魔族全員が立っている。


「伯父様、私は今日から……」


「わかっている。今日から、短期間の旅に出るのだろう?」


オルファニス族長は、姪の話を遮るように言った。


「リタ姫、姪をよろしく頼む」


オルファニス族長は、それ以外に何も言わなかった。


「話が纏まったところであれですが、そろろそ私達はこれで失礼します。船の時間もあるので」


五人はオルファニス族長にお辞儀をして、南端にある停船場に向かって走っていく。