「 別れた息子に
 成人式のスーツを 
 買ってやろうかと思うんだ 」

申し訳なさと決意とが
入り混じった複雑な顔で
夫が言った

「 いいんじゃない? 」


さらっと答える妻
でも、ふと思って


「 上のお兄ちゃんにも買ってあげたの?」


…沈黙する夫


とすぐに
「 違うんだよ!! 」  といきなり切れた夫


な、なぜ切れる?

「 何が違うの? 」  と驚く妻


すると 
「 もういいっ!! 」 と切れっ切れっの夫


「 ・ ・ ・ 」


その切れ切れに 切れた妻

「 そっちが話してきたのに もういいってなんなの?! 」


すっかり臨戦態勢の妻は
「 どんだけ自己中なの!」 と宣戦布告


夫は悪びれもせず
「  俺は自己中じゃねー!!  」


妻は食い下がった 
「 上のお兄ちゃんには買ってないんでしょ、どうせ! 」


地雷を踏んだ!



「 うるっせー!! おまえには関係ねーだろー! 」
「 おまえはいつも白黒はっきりさせ過ぎなんだわー 」


「 分かりました。関係ないならもうしゃべりません 」 
ここであえて冷静に対応



ここから寝るまでの30分ほど 休戦


( なんだよ、白黒はっきりさせ過ぎって! )
ベットに入って悶々としていると


「 あのさー 」  と再び闘いの火ぶたが降りた


無視する妻

「 離婚した時 下の息子は色々あったから
  あいつには俺がそれぐらいしてやりたいんだわ 」

さらに無視していると


「 その辺のニュアンスを察して 黙って うん。
  って言って欲しいんだよおまえには 」 

黙っているのも限界となり


 「 そんなニュアンス分かれって言う方が
   難しいよっ!! お兄ちゃんにしてないのに
   なんで下の子だけにするのかな?って
   疑問に思ったから聞いただけで、
   反対も何もしてないじゃん!! 」


そう、夫は別れた息子から連絡があったりすると
すべて妻に報告を怠らないし (自主的に)
会う時も事前に日程の相談がある

でもさすがに離婚した時の色んな感情や
夫の息子達に対する微妙な思いまでは
妻は聞かないし、知る由もないのだ


どうやら


「 上のお兄ちゃんにも買ってあげたの?」

この一言が痛い所をついたらしい





しばらくして
「 ごめん、俺の言い方が悪かった 」
珍しく反省する夫


勝負あった


白黒はっきりさせ過ぎの一言にはうなされそうだが
今日の所は寝る事にした
ニュアンスを察するって 難しいな~







 反省

 
 ~ ♪ ~ ♪ ~ ♪ ~
  本日出かけた
  大矢田神社の
  晩秋の紅葉  もみじ