BBC NEWS JAPAN より
絶滅危惧のユキヒョウ、インドでは718頭が生息 初の調査
絶滅が危ぶまれているユキヒョウについて、インドで初の調査が実施され、国内に718頭が生息しているとの結果がまとまった。同国の環境省が1月30日に発表した。
ユキヒョウは国際自然保護連合によって、絶滅の恐れが高い「危急種」に分類されている。生息地の減少、密猟、インフラ開発など、いくつもの脅威にさらされている。
インドにおける個体数の調査は、世界的な調査の一環として、2019年から2023年にかけて実施された。
調査では、動きを感知した時に撮影するカメラによって214頭のユキヒョウを確認。さらに、足跡などのデータ分析を加え、生息数を718頭と推定した。
これは、インドのユキヒョウが、世界全体の生息数の約10〜15%に相当することを意味する。
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対象地域は、ヒマラヤ山脈全域に広がるユキヒョウの生息地、約12万平方キロメートル。北部ラダック地方、ジャンムー・カシミール地方、北部ヒマーチャル・プラデシュ州、ウッタラカンド州、北東部シッキム州、アルナーチャル・プラデシュ州などで、ユキヒョウが生息している可能地がある場所の70%をカバーした。
環境省は声明で、「インドのユキヒョウの生息域は、全国的な調べがなかったため、近年まで明確にされていなかった」とした。
個体数把握の重要性
今回の調査の報告書は、ユキヒョウがヒマラヤ生態系における「頂点捕食者」であることから、その正確な個体数の把握は重要だとしている。
また、ユキヒョウの個体数は、生態系の健全性を示し、生息地に対する潜在的な脅威や、気候変動による変化を特定するのにも役立つと説明。
「これら高地生息地の完全性は、地域社会の社会文化的基盤や、下流で暮らす人々の経済維持と密接に結びついている」としている。
報告書はさらに、ユキヒョウが利用する土地の70%は保護されておらず、野生動物の生息地が絶滅の危機にあると指摘。
ユキヒョウが長期的に生き延びていくためには、常にモニタリングが必要だとしている。
(英語記事 India snow leopards: First-ever survey puts population at 718)