おこがましいかも知れませんが
力になれたらと思い書かせて頂きます


20142



その年は何十年ぶりかで

関東に2度も大雪が降った年


引っ越しを予定していた日に2度も大雪が

重なってしまいました



偶然とは思えない

まるで神様に大きな試練を与えられている

ようでした


しかしその時は突然やって来ました


その日は万が一のために何も予定を入れず

にいた日でした

何度も飛び出そうとタイミングを見計らい

ますが上手くいきません

仕方なく夕飯の支度をしようとしていた時

のこと


『お母さん!お父さん今お風呂に入ったよ!

今だよ!』


長男の言葉で私と3人の子供たちは目配せし

予め纏めておいた必要最低限の荷物と仔犬を

抱え、車へ乗り用意していたマンション

へと逃げたのです


早くしないと見つかってしまう!


早く!早く!


心臓が口から飛び出してしまいそうなくらい

鼓動がはっきりと感じられました


当時、長男16歳(高校1年生)長女13

(中学1年生)二男11歳(小学5年生)のとき


結婚から19年目の年でした




夫はずいぶんと長いこと仕事をしておらず

いつも家にいる人でした


躁鬱、アルコール依存、酒乱、暴力

警察のお世話になったこともありました


何か気に入らないことがあると

突然顔つきが変わり

人が変わったように怒り狂う夫


怒りの矛先は家族へ向けられ

私たちは恐怖で支配されていました



私は籠の中の小鳥


先の見えない暗いトンネルの中を彷徨い


黒い何かに飲み込まれる感覚でした



家族4人を養うため、昼は正社員の仕事

正社員の仕事がお休みの日は牛丼屋

夜はほぼ毎日居酒屋で働いていました

帰宅はいつも深夜12

子供たちとのコミュニコーションは

朝の時間と携帯だけが頼りでした



いつか倒れるかも知れない


気力だけで生きていた感じです


一日一日が必死でした



ある日、自宅敷地の裏で銀紙に包まれた

おにぎりが落ちているのを見つけた時は

とても悲しかったです


スポーツ推薦で高校へ進学した長男

朝練があったため、私は朝5時に起きて

お弁当と間食用のおにぎり2つを作って

持たせていました

落ちていたのはそのおにぎりだとすぐに

分かりました


でも後に、長男が学校でいじめの対象に

なっていることを知ったとき


早く気付いてあげられなかったことを後悔

しました


私に心配を掛けまいと一人で抱えていたの

です



私も子供たちもボロボロ

いつ家族が崩壊するか分からないギリギリ

の状態でした


心身共に疲弊していた私は

子供たちを守るため

心を平穏に保つため

静かに

ただひたすらその時を待っていました


お金なんていらない

ただ子供たちとの平穏な生活がほしい



そしてあの夜から3年半

金銭のやり取りは一切せず、ようやく離婚

することに同意してもらうことが出来ました



別居した当初

家族の待つ家に安心して帰れることが

こんなにも幸せなことなのかと

嬉しくて涙が出たのを覚えています


どんなことがあっても

お母さんはあなたたちの見方

絶対に見捨てたりはしない

何があっても受け止めるから

絶対にあなたたちを守るから!


そう心に誓いました



そこから私と子供たちの

家族の再生が始まりました


いじめ、故障、手術と人生の大きな分岐点

に立たされた長男は通信制の高校へ転校し

将来を見直すことになりました


ヤンチャで3人の中では一番手を焼いた長男

一時はどうなるかと将来を案じていましたが

無事に高校も卒業することが出来ました

校長先生、アルバイト先の先輩方、皆さんに

導いて頂き育てて頂きました


中学1年の2学期から不登校が続いていた娘

少しずつ保健室登校が出来るようになり

スキー教室にも参加することが出来ました

クラスメイトの輪の中に入れたのが大きな

きっかけとなり再び登校出来るようになり

ました


父親のこと、家庭の状況を理解して下さり

保健室の先生、担任の先生、教頭先生、

校長先生、そしてクラスメイトの皆さんが

娘のことを温かく見守り支えてくれました


物静かで我慢強くて気持ちを表現するのが

苦手な二男

ある日、私が帰宅すると突然大粒の涙を

流して泣き出してしまいました

それまで口には出さなかったけれど

たくさんのことを我慢していました

…大丈夫 お母さんが守るから 大丈夫…

私はそっと二男を抱き締めました



その年は簡単には書ききれないくらいの

たくさんの出来事があり

本当にたくさんの方に助けて頂きました


皆さんの支えが無ければ

今の私たちは無かったと思います



そして


私の背中を押してくれたこと

一緒に乗り越えてくれたこと


子供たちには感謝しかありません




家族がいること

家族といられること

笑いあえること

喧嘩が出来ること

一緒にご飯が食べられること


おはよう、行ってきます、行ってらっしゃい

ただいま、おかえりなさい、お疲れさま

おやすみなさい


日常の中の何気ない言葉のやり取りが

幸せでなりません



様々な捉え方が出来ますが


…当たり前は 当たり前じゃない…


家族であったり 他人であったり

見ず知らずの たった今すれ違った人かも

知れない

気付かない 知らないだけで

たくさんの人に支えられています



感謝の気持ちを心に 一日一日を大切に

生きていきたいと思っています