お先に御免 | さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

酒場であったあんなこと、こんなこと。そんなことを書いてます。ほとんど、妄想、作話ですが。

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久しぶりにクジラの刺身を頼んでみたら、記憶にあるものより量が少なくなっていた。

皿からして小さい。

以前は長方形の皿に盛られていたのが、この時は丸皿。

美味しさは変わらなかったが、値段も変わらず。

凍結酒の盛りは何時にも増してよかったから、まあ、良しとしよう。

この日は後から俺の隣に座られたお客さんと、注文が全く被って、ちょっと気まずかった。

俺のほうが先に注文を済ませていたのだが、後から来たその客も、クジラ刺しと厚揚げを頼んでいた。

当然俺のほうに先に料理が届くわけだけど、俺がそれを頼んでいたと知らない彼は、俺の前に置かれたクジラ刺しを見て、

「あれ、それ俺が頼んだ奴じゃ???」

って言葉にこそ出さなかったが、怪訝顔。

厚揚げが届いたときも、また同じ。

別に俺が悪いわけじゃないのだけれど、居た堪れなくなって、聞かれてもないのに言ってしまっていた。

「実は私も同じものを注文していたんですよ。お先、すみません。」