❊ 他愛なき友の話も極まりて
雨の土手道心地よき揺れ
今日から二月。
厳しい寒さだけど、雪ではなく
雨の降る午後だった。
11時半、半年ぶりに年下の
友人とファミレスで待ち合わせ。
出会った頃は40代だった友人も
還暦を迎えた。
昨年夏に会った時は白内障を
抱え、手術をどうしようか
迷っていたけど、今日は無事に
手術も点眼生活も終え、晴れ
晴れとしている。
いつも眼鏡を掛けていたから、
眼鏡のない友人は別人のよう
だ。
お互いの近況を語り合う。
他愛ない話から、だんだん
本題の最近の悩みに移行する。
話すことで心が軽くなるなら
幾らでも耳を傾けよう。
2時間半があっという間に過ぎ
た。
今日はもう1軒予定している
から、再会を約束してファミ
レスを後にした。
このところ毎日ことこと作って
いるマーマレードを、柑橘類を
どっさりくれた友人にも届ける
予定。
手作りのお菓子はココナッツ
ヨーグルトクッキー。
ファミレスから出ると、外は
雨になっていた。
この時期には珍しい雨だが、
雨が降るとウィルスが減る
からありがたい。
途中で電話したら、幸い家に
居て「20分後だね」と待って
くれている。
到着して声を掛けるが姿が
ない。
探しかけていたら、裏の畑
から白菜を2株抜いて帰って
来た。
「なまちゃん、白菜はある?」
「ううん、買って食べているよ」
「形は悪いけど持って帰ってね」
他にレモンの砂糖漬けとイチ
ジクジャムを大きな瓶に詰めて
くれた。
「引っ越しするからいろいろ
片付けてるんよ」
マーマレードはものすごく
喜ばれたけど、何故だか
帰りのお土産の方が多い。
雨の土手道を帰りながら、長い
付き合いの彼女の優しさを
噛み締めていた。