第198話 お遊戯 | らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】

第198話 お遊戯

「飲もう~♪ 

今日はとことん盛り上がろう~♪


~今私 気分爽快だよ~♪」


鼻にかかった歌声が

スタジオ内に響き渡る。


「も・・・森高千里・・・」

私は

あまりにもストリップに似つかわしくない

その曲を聴きながら呆然とする。

ビールのCMで有名なヒットソングだった。


先生は

私にかまうことなく

壁一面の鏡を見ながら

ハミングつきで振り付けをはじめる。


「ふん♪ ふん♪ ふ~ん♪」



邦楽もありなのか・・・。


しかも森高かよ・・・。


ビール片手に踊るのではあるまいな・・・。



私は

頭の中でぐるぐると

そんなことを考えている。


「はいっ! ここまでやってみて!」


先生がパンっと手を打って

私を見る。


「あっ・・・すいません、 みてませんでした。 もう一度お願いします。」


とにかく

レッスンははじまった。


先生の振り付けを見ていると

ブリブリと非常に可愛らしい。


こんな大柄の中年おっさんが踊って

これだけ可愛いのだから

私が踊ればさぞ可愛いかもしれない!

と俄然やる気を出し始める。


先生は

ダンス初心者の私でも踊れるような

簡単な振り付けをしてくれる。


一つ一つ

とても丁寧に教えてくれる。


しかし難しい。


レッスンに来る前は

「私はお立ち台の女王よ! パラパラで鍛えた腕を見せてやるわ。」

と意気込んできたのだが全然思うように踊れない。


リズムがあわない。

バランスがとれない。

すぐに振り付けを忘れてしまう。


全くいいとこなしで

私の傲慢な自信は打ち砕かれた。


出来ない私に痺れを切らした先生は

振り付けをさらに簡単にしてくれる。


簡単にされた振り付けは

全ての動作がワンテンポスローになり

先生が踊るとまだ可愛いいのだが

私が踊ると途端にお遊戯のように見えてしまう。


B級アイドルといったかんじだ。


思い通りに動かない自分の体に翻弄され

鏡に映る不恰好なお遊戯を目の当たりにして

「こんなはずでは・・・」

と私はショックを受けてしまう。


しかし出来ないものはしかたがない。


私は

少しでも先生に近づくようにと

何度も曲をリピートして必死で練習をかさねる。


3時間のレッスンが終了する頃には

最初に比べれば幾分踊れるようにはなっていた。


「じゃ、明日は2曲目とベットを少し教えるわね。

基本的にベットは振り付けあるわけじゃないから、好きにやってちょうだい。

衣装も明日ここに届く手はずよ♪ 楽しみね! あはっ!」


「えっ? 全部の曲に振り付けしてもらえるんじゃないんですか?」


曲は全部で5曲あると訊いている。


「振り付けあるのは2曲目までよ~。

最初の踊りと脱ぎの曲だけ。 盆の上では好きにしなさいよ。 あはっ!」


「えーーー・・・。 そうなんですかぁ・・・。」


私は不安になりながらも

先生からテープを受け取り、家路についた。


翌日

私はまたも驚かされることになるのだった。




前途多難なストリップ道・・・ 踊り子としてのキャラ確立はいかなるものに?!

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