今までのストーリーは
テーマ『トルコで婚活ネタ』で
まとめてご覧ください。

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ISOからの突然の別れ宣告。

なぜ、どうして。
分からない。

前日まで『愛してる』と言っておきながら
突然音信不通になったかと思えば
今度は逆ギレの上別れるという。

あまりにも勝手で酷い。

だが、彼は特別な存在だった。

ここで別れる訳にはいかないし
全く納得できない。

一体何が彼をそうさせたのだろう。

ここは、彼の親友でもあり
私達が付き合った当初から
サポートしてくれていたOさんに
事情を聞く他なかった。

すると案の定の答えが返ってきた。

『Borç』
(借金)

やはり悪い予感が的中してしまった。
 
浮気ではないだろうと思っていた。
あまりにも突然だし
浮気する位なら本当の事を言って
別れるから、と豪語するくらい
ISOはハッキリした奴だ。

聞けば弟の事業が失敗して
多額の負債を抱え込むことになったらしい。

弟は問題が多いからと
以前から疎遠にしていたらしいが
かといって無視することは出来ないという。

弟の負債は家族の負債。
仮に弟と縁を切っても
親が苦しむことに変わりはない。

ましてISOは長男。
この弟の下の兄弟はまだ学生である。
頼りになるのはISOしかいないのだ。

そしてISOは
貯めていた結婚資金と家財道具一式全てを
失い、住んでいた下宿先を出て
友人とのシェアハウスへ移ったというのだ。

それでもまだ借金返済の見込みは
全く立たず、
彼は自暴自棄になっているという。

『だいたいいくら位の話なの⁈』
私は恐る恐る聞いてみた。

『1000…万円』
だっただろうか。
ショック過ぎてよく覚えていない。

日本人でも大きな数字だけど
トルコ人から見たらもっと大きいだろう。

だが、日本人から見て
首をくくらなきゃいけないほど
ものすごい金額でもない。

確かに凄い足枷にはなる。
だが、例えば1000万円のローンを
組むことは普通にあるし 
返済しながらの暮らしも
不可能ではないはず…。

そこで
Oさんから事情を聞いたことを
正直に告白した上で
私が何か力になれないかと
ISOにメールした。  

すると彼から

『ごめん。
幸せに出来ないから別れる。
助けはいらない。』

と返事がきた。

私は別れたくないし

『困った時こそ助け合わなくて
何で家族になれるの⁈』

と反論した。

だが彼の意思は固かった。

『別れると言ったら別れる。
巻き込みたくないから。
もうメールもしない。』

と。


私『愛してないの?』


ISO『あぁ、愛してない。』


そして彼からのメールは途絶えた。


ISOは本当にずるい。
格好つけて、弱みを見せない。
頼ってもくれない。
自分だけで抱え込む。

そんな奴だ。

彼がもし遊び人や軽いトルコ人で
むしろ日本人の彼女がいるんだったら
お金の援助を言っただろう。

だが、ISOはそれを望まなかった。

本当にずるい。
こういう奴だから、ますます
諦められない。

しかし実際、彼はこれからどう
生きていくのだろう。

以前したことがあるという
ボディーガード等の危険な仕事だろうか。

お金の為に危険な仕事をするから
『巻き込みたくない』
と言ってきたような気もした。

…それだけは阻止したい。

彼には彼の未来があったはずで
弟の負債で彼の人生が
歪められてしまうなど
あってはいけないことだと思った。

だがISOはもう何を言っても
返事をしてくれなくなっていた。

仕方ない、
Oさんに頼るしかない。

それからの日々は
Oさんとの連絡が
唯一ISOの近況を知れる手段となっていた。

だが、いつ聞いても
状況が改善することはなかった。


そんな最悪の状況下でも
私は私の仕事をせねばならなかった。

そんな中ちょうど訪れていたのが
イタリアである。

そこで『ロミオとジュリエット』の舞台と
なったヴェローナに立ち寄った。

あの話も悲劇だ。
愛し合った2人が運命に翻弄され
引き裂かれてしまうのだが
諦められないジュリエットは仮死の毒を
使った計画を実行する。
だがそれが伝わっていなかったロミオは
ジュリエットが本当に死んだと思い
自殺をしてしまう。
仮死から目覚めたジュリエットも
ロミオの短剣で後追い自殺をしてしまう
という悲しい話である。

なんだか気分はジュリエットだ。
私たちは確かに愛し合っていたはずなのに
どうしてこんな理由で
引き裂かれてしまわなきゃいけない…
と、自分を重ね合わせていた。

ヴェローナには
そんな『ジュリエッタの家』も実在する。

そこは恋愛のパワースポットだと言う。

入り口のトンネルには
世界中の恋人たちの願いが
壁一面にビッシリと書かれていた。

ここだ、私は本能的に何かを感じた。

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そして、お客様の前にも関わらず
ひときわ大きな字で
私も書いた。

『çok seviyorum seni 』
(とても愛してる貴方を)

と。

もう神に祈るしか出来なかった。

だが、
こんな絶望的な別れから
私たちが再び会えたのは
今でもこの場所のおかげかもしれないと
思っている。


ジュリエットが願いを聞いてくれたんだと…。


続く…。



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