念願の執筆活動 | 器と暮らす 「器の案内人」日笠真理のブログ

念願の執筆活動

「器」について、文章で伝えたいと、

その想いがだんだん強くなってきていた。

文字にすることで、

本当に伝えたいことがクリアになり、その芯が切り取られ、

エッセンスとなって、ひとの心にふれる

器に関する本を数多く読み重ねていくなかで、私自身が体験してきた。

だから、「いつか文章で伝えることができたら」と思い始めていた。

そう想っていると、不思議なもので、想いは通ずるのである。

なんと、器についてコラムを書かせてもらえるチャンスが巡ってきた。


文章を書くことも、器の知識も、まだまだ未熟だけれども、

自分の想いを全力でぶつけようと、挑戦したこの企画。


このようなチャンスを与えてくれたリビング新聞の編集長・中島さん、

一緒に内容を考え、撮影をしてくれたフードスタイリスト神谷美保さん、

まわりで応援してくれたみんな、本当にありがとう。感謝です!


記事はこちら

朝日新聞折込「Allen」11月11日発行

おとなの器づかい もういちど出会う 本物の器


器と暮らす 「器の案内人」日笠真理のブログ

いつも仕事でご一緒させてもらっている

フードスタイリスト神谷美保さんの写真とのコラボです

器と暮らす 「器の案内人」日笠真理のブログ



私の器への想いを、めいっぱいつめこみました。

お時間のあるときに、お気に入りのカップでお茶でも飲みながら、読んでいただけるとうれしいです。



(記事から抜粋)

器づかいとは、器を通して相手を想うこと、気づかうこと。
そして、やがて自分にかえってくるもの。
自分らしく気持ちよく生きるために、これまでとは違う器づかいがあります。


わたしたち日本人は、かつて昔、土をこね木をけずり、食べるための道具として器を作ってきました。

大量消費社会になった現代でもなお、プラスチックではなく土や木の器で食事をしているのは、きっと、遠い記憶をたよりに、土や木が内包している優しさや癒しを感じとっているからではないでしょうか。
日々慌ただしい生活のなかでも、疲れて帰ってきたときに、お気に入りのカップでお茶を飲むと心がほぐれる、土の器でご飯を食べる、ただそれだけで心があったまる、だれもが無意識に感じとっている器の力です。


では、“いい器”“とは?
それは、日々の何気ない暮らしに寄り添える器。


器は、食べることの延長にあり、毎日を大切に暮らすための道具として、今、その価値が見直されています。
これまでは、産地や価格が選ぶ基準にあり、華やかで飾って楽しむ趣味としての器の時代もありましたが、服や時計を選ぶように、自分らしく生きるためのアイテムとして、ブランドにとらわれない自分の感性が求める器が、選ばれてつかわれはじめています。


同じ料理でも、盛り付ける器によって“おいしそう”が違う、料理をするだれもが何となく感じていることですが、“いい器”は料理を盛りつけたとたん、その存在感がすうっと消えて、料理を主役に引き立てます。カッコよさや見せかけではなく、芯があり、いつもの料理をそっと支えてくれる器こそ、“いい器”です。

切っても切れない関係の料理と器ですが、野菜などの食材もすべて、土から生まれたもの。きっと、同じ土から生まれたもの同士、見えない力で引き寄せられているからではないでしょうか。


「食べることは、生きること。」といわれます。
家族や友達と、ワイワイおしゃべりしながらの食事の時間は、何ものにも代えがたい幸せな記憶。食べたものが体をつくるのと同じように、どのような食べる時間を重ねてきたかでその人はつくられます。幸せな食べる時間の積み重ねが、人生の幸せ度を決めるとも。


毎日手にし、楽しい食事の時間を共にする器は、わたしたちのからだをこころを支えています。
だからこそ、“いい器”をつかってほしい。
幸せな記憶がたくさんふえるように。自分らしく気持ちよく生きるために。



器と暮らす 「器の案内人」日笠真理のブログ

飴釉菊皿(喜多窯 霞仙)×全粒粉ドイツパンとブルーチーズ

photo by 神谷美保


(器のストーリー)
菊の花を形どったこのお皿。
そのルーツをたどると、はじめは懐石料理の器としてデザインされたものだとか。
自然の小さな草花にも美を見出し、暮らしの豊かさにかえる日本人の美意識は、世界に誇れるものです。
時を経てもなお、ひとのこころをとらえ、伝統のデザインの力を感じます。

(器と料理)
伝統的な形でも、現代センスであわせるなら、パンとチーズ。
ナチュラルな雰囲気のこの器には、素材感いっぱいのパンがよく似合います。
たっぷり料理がはいるサイズなので、パスタやカレー皿としても大活躍。


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椿皿(工房やまと)×大人のアペリティフ3種(ドライフルーツとオリーブ)

photo by 神谷美保


(器のストーリー)
山々に深く囲まれた南木曽で、木と向き合い、木の命を器にかえる職人、木地屋。
その手から生まれたこの器からは、山の香りが。
木の器を丈夫に使いやすくするために、漆はさらっとほどこす程度に作られています。
木のもつぬくもりややさしさは、手に触れてはじめてわかる。
だからこそ、ハレの日よりも、日常でつかいたい器。


(器と料理)
和歌山県にある根来寺で、たくわんを盛って椿に見立てたことから、この名がつきました。
そこで、早咲きの椿に見立て、朱色にドライマンゴーを。
派手な漆器とは異なる表情を見せるこの器には、素材の滋味を楽しむ料理がよく似合います。
シンプルだけど本物を求める大人だからこそできる、器づかいです。