虹色の花束みたいな、キミに。
相変わらずに近所の小児科に足しげく通っていた。生まれてからこれまで、風邪をひくと咳がひどくなるのが気になっていた。保育園に通っていると移し合いは仕方ないとやっと腹をくくれたと思っても、毎月のこととなるとまぁまぁつらい。
十九日に突然咳が出始めたかと思えば、あれよあれよとひどくなり四十度近い熱が四日間も続いた。母親の「嫌な予感」は結構あたる。急いで紹介状を書いてもらった。
仕事を途中で切り上げてくれた夫を待ちながら入院の準備をしてタクシーに飛び乗り、救急外来へと向かった。またこの景色を眺めながら、なんとなく覚悟を持ってアリを抱きしめる。
「大丈夫、キミは強い」
この逞しい体もどなたからのプレゼント。わたしを支えてくれるものはいつもたくさんある。
医師は遠目からアリを眺めて頷いた。
「うん、入院かな」
慌ただしく酸素や点滴の処置が行われ、泣き叫ぶアリの声が響き渡る。鋭い蛍光灯の光に包まれた人々がせかせかと流れていく。呑み込まれそうになりながらも必死に、でもどこか落ち着きながら耐え忍んでいた。トイレに行ったり、飲み物を調達したりと、こういう時は淡々とこなす方が楽なのを知っている。役割をただ果たしていくだけで構わないのだ。
つづく


