『武士の家計簿』監督:森田芳光(2010)

 先頃、話題をさらったテレビドラマ『半沢直樹』以前より、個人的な堺雅人ブームだった。この映画も、森田芳光はさておき、堺雅人の風変わりな武士を観たくて手に取った。

 餅は餅屋、蛙の子は蛙とはよくいうが、士農工商が区分けされていたこの時代は、こうして武士の中でも役割が特化していて、それぞれの立場で藩を守ろうとしていた。

 今は公務員の息子が俳優を目指してもいいし、空手家の娘がバイオリニストになってもかまわない。ただ、こうした家系の伝承が全く薄れてしまった訳ではない。日本には100年以上続く企業がざらにある。これは世界的に類を見ない。1000年以上継承してきた貴重な企業すらある。それは100年、1000年先を見据えたわけでなく、ただその時代のものたちが、自分のやるべきことをただ淡々とこなしてきた積み重ねに過ぎない。

 勤勉は、日本人の美学の一つでもあるんだな