国内加工にどのくらい拘るのか
富山とその他の地区について考えなくてはなりません。
富山のお墓なんですが
左の写真で墓石本体はどこの部分でしょうか?
竿石(仏石)、蓮華、ザブトン、上台、角台、です。
笠石より下は納骨室です。
門柱や玉垣などは「外柵」と呼ばれていますが富山では「舞台」と呼びます。
都市部の「丘カロート」と呼ばれるお墓に照らし合わせると富山のお墓の笠石は納骨室天板になります。唐戸と根太石が納骨室になります。
先ずはこの違いを覚えておいてください。
墓石の部分と納骨室の部分の石は違っていてもいいのです。
例としてあげますが、
墓石=真壁、納骨室=AG98、とか
墓石=クンナム、納骨室=M13、など。
しかし富山の場合は墓石と納骨室の石が違う笠墓はほとんどありません。
一般的ではないのです。
基本的に同じ石で作ります。
四六の墓と呼ばれる都市部の丘カロートのようなお墓の場合は墓石と納骨室は違った石を使う場合が多いのですが、四六のお墓自体が少ないので、この記事は笠墓での内容になります。
富山のお墓が国内加工をほとんど出来ない理由
富山では原石を仕入れて最初からお墓を加工される石材店は少ないですがあります。
また部品で仕入れて最終仕上げを自社でする石材店もありますがそれも少ないです。
最初これだけは申しておきます。
全くないとは言えないからです。
富山で国内加工(自社ではなく丁場の石材店などに加工してもらう場合)がほとんど出来ない理由は、
- 才数が多いので大きな石(長尺もの)がなかなか採石されない
- 水切加工は必需(複雑加工は加工費が加算される)
- 東部は蓮華がついてないと売れない
- 仕入れ価格から想定される販売価格が話にならないくらい高くなる
以上が理由なんですが、詳しく説明したいと思います。
才数が多いので大きな石(長尺もの)がなかなか採石されない
大きな石(長尺もの)はなかなか採れるものではありませんし、その大きさを確保する為に潰さなくてはならない部分もあって、「割高」になります。
大きな石を確保するために1年以上かかる事もあります。
富山の場合はお墓の大きさを考えた場合、庵治石は無理です。
大きなものが採れないんです。
&水切加工は必需&東部は蓮華がついてないと売れない
ある国産石の丁場の石材店さんに話を聞いた事があります。
富山の石材店数社と取引があるそうで、
原石で販売する場合や一部を加工して最終仕上げは購入された石材店さんで仕上げる場合があるそうです。
例えば笠墓のくり抜き型の唐戸の場合、
切断して
立方体の形
購買をつけた形
コの字型にくり抜いた形
で販売するそうです。
もちろん立方体のままよりもコの字型にくり抜いた形で販売する方が高くなります。
そして富山の笠墓はすべての部分に水切りがついています。
上台、角台、笠石、根太石。
蓮華ぐらいです、水切りがついてないのは。
水切は
墓石の水切り(水垂れ)加工はどのようにやっているんでしょうか?
この記事に加工のやり方を書きました。
手間がかかるんです。(特に人件費)
それを全部の部分につけなくてはならないのです。
蓮華ですが、中国工場でも加工費は別です。
それを日本で加工した場合、かなりの加工費の追加があるでしょう。
少なくとも数日はかかると思われます。
仕入れ価格から想定される販売価格が話にならないくらい高くなる
丁場の石材店さんは全て加工してから販売する場合もありますが、途中まで加工して販売する事もあります。
では全部加工したら販売価格はいくらになるのか聞いてみました。
この時は水切つけて蓮華は無しの場合で聞いてみました。
そのくらいはするだろうな、と思う価格でしたが。
少なくとも40才ある富山の笠墓の場合、多くの人たちが手が出せない価格になってしまうのです。
特に魚津や黒部で平成以降に建てられた国産石のお墓など見たことがありません。
この地区のお墓は80~100才くらいの大きさなので中国石を使っても中々の価格になるのですから国産石、さらに国内加工など最初から無理なんです。
蓮華もつけなきゃいけないし。
ところが8寸和墓ほどの大きさのお墓を建てる地区であれば全く問題のない価格になるのです。
10才もないのですから。
あとは納骨室をどんな石にするかを考えればいいのです。
価格面や、デザイン、構造にまでも触れなくてはならないので紙面上であきらかにするには良くないと判断しました。
次は富山以外で考えてみます。