お悔やみ営業
「あんたらの業界ってどんながいよ、親父死んでから来るわ来るわ石屋が。いったいどうなっとんがよ?」
「と言われますと?」
「葬式終わったらしゃばじゅうの石屋がいっぱい墓無いがかと聞きに来るがよ」
「はい、それはお悔み営業と言って新聞の死亡欄に載ったお宅に訪問するんです。私もそうやって来ました」
「そっでか、石屋ばっかでな~て仏壇屋や仕出し屋やらもいっぱい来んがよ」
これはあるお宅に私がお悔み営業で出かけた時の会話で方言丸出しなんですが内容は伝わったかと思います。
富山県や石川県の場合は新聞にお悔み欄というものがあって、(婚姻や赤ちゃん誕生なども載ってる、さすがに離婚は無いですけど、笑)
地方都市(富山)の場合
新聞のお悔み欄をチェックし(千葉県などは載ってません)
自分の担当地域のリストをまとめ、優先順位からまわります。
人が亡くなって優先順位もなにもないんですが、行かないと他の石材店にとられてしまうので必死です。
お墓が無いと予想されるケース
お亡くなりになった方が
- 30年くらい前に開発された住宅地(分家と予想される)
- 名前に二や三、次、外がついてる(次男、三男の可能性あり)
- 喪主は妻か長男
男性なら65歳くらいで喪主が妻で新しい住宅地に住んでいて名前が伸二とか次男に多いような名前であればかなりの可能性でお墓がありません。
他の石材店も同じように考えています。
なので商談となった場合は複数競合するので墓石の価格は安くなります。
お悔み営業は有名石材店には有利です。(TVCMなどで知名度がかなりある)
でも一番重要視されるのは営業マンの人間性です。
例えば20才くらいの男性が交通事故などで亡くなったとしましょう。
葬儀が終わってすぐに訪問する営業マンは大バカです。家族の悲しみが大きい(特に母親)ので話をきける状態ではありません。そういう時に訪問するとかなり嫌われて「○○石材店では絶対に建てません」と思われます。
お墓があると予想されるケース
- 郡部
- 喪主が孫
- 喪主が兄弟
郡部の場合、担当営業マンは墓地に行ってお墓が新しいか古いかを調べているのでどの家にお墓があるかないかを知っています。
喪主が孫や兄弟の場合はほぼ100%お墓があるので優先順位は下がります。
郡部へ行くと、
「はい、うちには立派なお墓があります」
などど良く言われました。
新聞にお悔み欄がある地方都市は自分の担当地域を順番に回ればいいのですが他の石材店と競合します。
「さっき○○石材店さんがお見えになりました」と言われた事も多々ありまして、当時の私は「また○○石材店か絶対負けないぞ」と思ったものでした。
サラリーマン時代は売り上げの事ばかり気にしておりましてお客様に良いお墓を建ててもらいたいという気持ちは持ってはおりますがノルマを気にして誠意のない態度だとお客様に思われていたかもしれません。
それで今はこのような活動をしているわけです。
都市部(お悔み欄が無い地域)でのお悔み営業
リスト集めが大変です。
そのリストも有料です。
葬儀社、花屋、葬儀社に品物を卸してる業者などから有料でリストを購入するのです。(葬儀社の場合はリベートがもらえる石材店に直接連絡する)
ところがそのリストの中には間違いもあって、「田中実」など同姓同名の場合は「うちは誰も亡くなっていません」とか怒られる場合もあるとか。
個人情報は金になるので、うまく集めればいい金になります、当然1社だけじゃなく他の石材店にも売るので、、仏壇屋にも、、(-_-;)
都市部は石材店と寺院がガッチリ手を組んでいる場合が多いし、民営霊園の指定業者になっていない石材店は墓地で負けてしまいます。
全く公営墓地がないという「市」もあって、何のために住民税を払っているのかと思います。
その公営墓地も絶対数不足であり、開発されるのは民営墓地ばかり。民営墓地も上手くさばけないと含み赤字を引きずったままになるので開発することもためらってしまいます。開発が厳しくなってきてる「市」もありますし。
そういう中で有料で死亡者リストを集めて営業になるのかな?というかなっているんでしょう。
民営霊園を何か所か押さえてる石材店じゃないとリストを購入する意味はありませんね。
新聞に死亡欄を載せないのはなぜ?
富山では新聞の死亡欄を見て「あ、○○さんお亡くなりになられたんだ。お通夜に行く準備をしなくっちゃ」と死亡欄を見て親しかった人や知人が亡くなった事をしる場合はけっこうあるんです。
毎日死亡欄をチェックするのが日課になってる人もいます。
お悔やみ営業
こちらの大阪の業者さんのブログには興味深い事が書いてあります。
死亡欄が無いためにインターネットなどに出す広告費がかかる。
死亡欄があった時には葬儀があった時に空き巣が入った。
今後は死亡欄を載せない地域が増えるのではないか?、と言われています。
今のうちに花屋や餅屋など、押さえておいたほうがいいかも?(冗談です、真にうけないでください)
お悔やみ営業
こちらは一般の方のブログなのだが、ほとんどの方がこのように思われているんじゃないでしょうか?
面白いので勝手に解説します。
その仏壇店は親類の者がお世話になったこともあり、裏の伯母もそこで仏壇を購入し、うちもそこで買うことも考えていたのですが、告別式の翌日にいきなり営 業に来るという、遺族の気持ちを考えない無神経さに私も弟も母も怒りを覚えたので、そこではなく、地元の老舗の仏壇店で購入することにしました。
それは北陸と関西にはない「お仏壇のH」ですね、おそらく。
葬儀の翌日に訪問するのはちょっとダメですね、ちょっとと言ったのは石川県の金沢市では葬儀の翌日の午前中に行かないと遅いと聞いたからです。(同僚営業マンが行ってたんです、私の実体験ではありません)
しかし早すぎる訪問には間違いありませんし、実際に○○石材店は早くきたので気分が悪かったですというお客様の声は多く聞きました。
営業マンは自社が弱い地域の場合だと早めの訪問をすることもあります。ダメでもともとだと思っているんでしょう。
お参りに来た振りをして家に上がりこみ、お経まで読んでからカタログを広げて営業を始める者もいるそうで、こういうのを「お悔やみ営業」などと言うそうです。
これは仏壇屋がよくやる手です。
墓は墓地へ行けば(村落共同墓地の場合すぐ近くにあるので事前にお墓が建ってるか調べる事ができる)お墓が建ってるかどうか(古いかどうかも)分かりますが仏壇の場合は家の中に入らないと分かりません。
なので仏壇営業マンはどの宗派でも簡単なお経はよめるようです。基本的には○○仏壇ですお経をあげさせてくださいと許可をとってからお経をあげるわけですが、実際彼らが期待してる答えは「うちには仏壇がありません」です。
仏壇が古い場合は洗い直しを進めることも出来るので重要な営業トークです。
都会と違って地方は、近所の口コミの影響が大きいので、新聞のおくやみ欄を見ていきなり駆けつけて来るよりも、日ごろの真面目な営業で好評を受けている方がずっと効果的と思いますが。
ブログ主は逆効果ではないかと述べた後にこう書いています。
しかしですね日ごろの真面目な営業って誰が認めてくれるんでしょう?
いくら誠実に営業してたとしてもお客さんはTVCMやってる石材店か公営墓地の前に店舗を構えてる石材店に言ってしまうんです。
もちろん今の私はサラリーマン時代とは違って「真面目な営業マン」です。すいません、自分で書いて恥ずかしくなりました。(>▽<;; アセアセ
日ごろの真面目な営業が評価されるのはお客様からの紹介です。
そういうお客様をたくさん作っておかなければならず、そうなるためには
「見積もり価格はどんなお客様でも同一」
「施工ミスがない綺麗なお墓を建てる」
ことが条件であり人間性が良い事も求められます。
おくやみ欄の威力
こちらの方はお母さんが亡くなられた時の事を書かれています。
新聞の死亡欄を見て後日おとずれた方も多かったと「お悔み欄」に載せてよかったと言われています。
ただ、このおくやみ欄、個人情報がガッツリ載っているので、招かざる弔問客もチラホラやってくる。
その代表格は、仏壇、墓石のセールスマンの方々。
あ~、やっぱり私らは迷惑がられているんですよねえ。(ここ4年ほど一般的な営業は全くやっておりません、webだけです)
でもダメダメ石材店にお墓を建てられトラブル可能性のあるお客様を助けるのが、、、またまた臭い事を言ってしまいました。(>▽<;; アセアセ
なぜ石材店はお悔やみ営業をやめないのか?
富山県ではお悔やみ営業する前に「墓石のカタログ」をお亡くなりになられた方の家に事前に送りつける業者が数社あります。その石材店はTVCMもしています。
中には県内のほとんどの地域に送ってる業者もあって、「カタログ代、バカにならんやろ?」って思います。
私の友人でO君というのがいるんですが、彼はすでに両親が他界しお墓はお祖母ちゃんが地元の共同墓地に建てられてます。
葬儀の翌日あたりをめがけて送られてきたカタログを全部捨てて「実に気分が悪い」と言っておりました。
昨年は親戚の叔母さんが亡くなられ、従兄弟もかなり気分を悪くしておりました。
こんなに気分が悪くなるお悔やみ営業やカタログを送りつける事が嫌がられているのになぜ石材店は止めないのでしょう?
寺院やJAの指定業者になっていない石材店にとって「新聞の死亡欄」は言ってみれば宝の山(こういう表現をしてすいません)です。
というかそれしか営業方法はありません。知人の紹介などは定期的なものではないのであてにはなりません。
断られて元々、それなら早く訪問しようと、それを基本にしてる場合もあって、「○○石材店と○○石材店は葬儀の翌日に訪問するんだって」と業界内では誰もが知ってる事です。
なぜ彼らはお客さんに気分悪く思われようが葬儀の翌日に訪問するんでしょうか?
それは葬儀の翌日に訪問しても契約を取れる事があるからです。
お墓のカタログを送るのをやめないのはなぜでしょうか?
それはカタログを見て連絡してくるお客さんがいるからです。
先に手を付けないと他の石材店にとられてします、という意識が強いし石材店にとっては年々契約を取るのが難しくなっているのでダメもとでやるんです。
あまりないのですがお悔やみ営業に行って「おたくの会社の人が来るのを待ってたよ」と言われた事があります。そういう事もあるので営業マンはお悔やみ営業するんです。
「見積もりさえださせてくれれば・・・」と何回思った事でしょう。
お客さんが何事も比較して判断されれば納得もしますが、多くの場合門前払いです。
そういう中でお悔み営業をやめる石材店は富山のような地方都市ではないでしょう。
「新聞の死亡欄」がない地域であれば、手つかずのお悔やみ客が多くいるので「お悔やみ営業はしません」と言えるんじゃないでしょうか。リストだって有料で購入しなくてはいけないし。
いくら嫌がられようとお悔み営業が無くなる事はありません。