問題のあるお墓の施工・・・セメントのアク
お墓の施工は各石材店によって少し違っています。基礎工事の時に砕石ではなく手のひらサイズの自然石を入れたり、セメントを使ったりボンドを使ったり。
その中でも「セメントのアク」と「基礎の傾き」、この二つが大きなトラブルになります。今回は「セメントのアク」について説明します。
かなりのアクが見られます。
こちらのお墓は敷地が3坪ほどもある大きな立派なお墓です。舞台を張りめぐらし玉垣(外柵)も設置してあります。墓前燈籠も建ててあります。
お墓の舞台の左側面です。かなりのアクが流れ出しています。
アップにしてみましたがアクがこびり付いていてスクレーパーを使用して削り落とさないととれません。かなり力が必要で女性では無理です。
舞台の後ろ部分です。写真にはありませんが右側面もかなりアクが出ています。
こびり付いたアクはスクレーパー(アカ落とし)でかなり力をこめて削らないと取れないんです。かなりの作業です。このお墓は10年くらい経っているのですが、酷い場合は1年も経たずにアクが流れ出し数年で写真のような状態になります。
皆さんの家のお墓がこのようにアクが溢れ出したらどうしますか?
お客様も石材店も「セメントのアク」は想定外なので石材店の営業は「アクが溢れ出したらスクレーパー」で削ってください、などどは言いません。当たり前ですよね、アクが出ますと言ったら誰もそのような石材店ではお墓を建てなくなりますから。
対処法として
舞台・外柵・巻石・貼石、全てをいったん取り外し組みなおしをしないとアクは止まりません、
大変な作業です。
作業員3人で丸三日、費用はざっと見積もって40~60万円は最低かかるんじゃないかと思います。丸三日と書きましたが、取り外してアク取り → 基礎工事 → 組み上げ という三回の工程になります。取り外した時にもしかしたら石が破損するかもしれません。
このお墓の場合は中のモルタルはセメント分が流れ出し、砂しか残っていない状態です。将来確実に修理が必要なのは見ての通りです。
アクが出る原因は何なのでしょうか?
- 巻石の結合部を金具で止めてない
- モルタルの攪拌不足かセメントそのものが少ない
- 雨の日にお墓を建てた
大きな原因はこの三つです。今から10数年前はL型の金具で留めてない場合もあります。そのようなお墓はほとんどアクがあふれ出しています。モルタルとは砂とセメントを混ぜ合わせたもので、かき混ぜるのがいい加減な場合はアクが流れ出す原因になります。石材店によっては雨天でも工事をする事があります。どうしても四十九日に間に合わせなくてはならない場合以外は雨天にお墓を建てる事は避けるべきです。
ただ、四十九日や法要に間に合わせなくてはならない場合は雨の日にもお墓を建てなくては鳴らずセメントを使う以外に手段はありません。そういう場合は石材店は晴れた日に修理やコーキングをしてくれると思います。