ある研修医の手記15

 

「僕の傍まで来てママは急に力が抜けてだらんとなり、そのまま僕の上に倒れて来た。よりによって顔が僕のあそこに被さった。『ママ、大丈夫ですか?』、意識がない。僕はママを静かにベッドに寝かせた。ママが失神したのはなぜだろう。僕の拙い知識で考えた。

 ママには貧血や低血圧はないし、頭をぶつけた事もないし、てんかんでもない。失神の中で最も多いのは、血管迷走神経性失神だ。これは精神的に強いストレスで自律神経が乱れて血圧調整が上手く出来ず、脳への血流不足になって一時的に失神する事もある。だから僕は、ママの足を高くしてベッドに寝かせて様子を見た。暫くしてママは目を覚ました。

『ボクちゃん、とうとう私達結ばれたの? ママ悔しいけど、何にも覚えてないの』『大丈夫ですよママ、そうはなってませんから。ママは失神して少し意識を失ってただけです』『ボクちゃん、少しだけママに添い寝してくれる?』『いいですよ。でも倒れた後だから、静かにしてて下さい。病院には少し遅れるって後で連絡します』。

『あ、今は朝なのね。ボクちゃん、ママをギュッと抱きしめて! ママは、ママは……』ママがあそこに手を伸ばそうとしてきたから、僕は機転を利かせて離れた。『ママ、何か悩み事があるなら、評判のいい院外スタッフの藤兵衛先生をご紹介しますよ』」