代官「お主も悪よのぅ。ふぉっふぉっふぉっふぉっ」

医者「これもひとえに、お代官様がお知恵を授けて下すったお蔭でございます」

二人「あっはっはっは、あっはっはっは」

代官「よもやお主が薬問屋を利用して、抜荷で阿片を引いているとは誰も思うまい。ふん、ほんに悪いやつじゃお主は。あっはっはっは、笑いが止まらんのぅ」

医者「これで中毒患者を増やして、こうしてお代官様に菓子折りをお持ちできるわけでございますから。この先は、もそっと大きな菓子折りがいりまするな」

代官「わしは菓子折りではなく、その底の物が大好物でな。ま、今のままでも良いではないか。あまり目立っても具合が悪かろう……ん? 誰じゃ、そこに居るのは」

女中「般若湯をお持ちし、綺麗所をお連れ致しました」

代官「後にせぇ。今、大事な話をしておる所だ。用があればこちらから声を掛ける」

女中「かしこまりました。失礼存じます」

代官「では、そろそろ寝所へまいろうか。これを敷き詰めて、お主としっぽりするのはまるで極楽じゃからな。さ、さ、まいろう」

医者「仰せのままに。魚心あれば何とかでございます」