羽生 激痛耐え抜きGP初連勝 2季ぶりファイナルも「全日本厳しい」
11/18(日) 6:00
◇フィギュアスケート GPシリーズ第5戦ロシア杯最終日(2018年11月17日 モスクワ)
男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)首位の羽生結弦(23=ANA)がフリー1位の167・89点、合計278・42点で優勝を果たした。公式練習中に右足首を痛めるアクシデントがあったが、急きょ演技構成を変え、完勝。自身初のGPシリーズ連勝となったが、今後の試合出場は不透明となった。友野一希(20=同大)はフリー156・47点、合計238・73点で3位だった。
激痛に耐えた羽生は、演技を終えると思わず本音を叫んだ。「頑張った」。フリーは167・89点で1位。自身の世界最高記録190・43点には遠く及ばない。それでも、自分自身との闘いに勝ち、笑顔を見せた。
やれることはやった。右足首を痛めての演技。冒頭の4回転ループは、左足で踏み切る4回転サルコーに変更。得意の3回転半で転倒するなど“らしさ”は欠いたが、痛み止めを飲みながら、難度を落としての強行出場。「(足の)感覚はないです」と振り返った。
激動の一日だった。午前8時20分から始まった公式練習。自らの曲かけ中の冒頭で跳んだ4回転ループで回転が足りずに転倒。「いっちゃった…とすぐ分かった」。少しうずくまって立ち上がると、氷上で次のプランを考えた。午後2時55分から始まる演技内容をイメージし、すぐに練習を切り上げた。
「じん帯損傷で間違いない」。チームドクターからは3週間の安静が必要と明かされた。昨年11月のNHK杯で痛めた右足首は、再び悲鳴を上げている。「切れるじん帯もないくらい。(転ぶと)すぐに骨に当たり、無理したじん帯が切れる。弱いというかもろいというか…。それも羽生結弦」。悔しさがこみ上げてきたが、出場すると決めた。
必死に自分を奮い立たせたのは、やはりロシアだったから。フリー曲「Origin」は、憧れのトリノ五輪金メダリスト・プルシェンコさんの伝説的なプログラム「ニジンスキーに捧(ささ)ぐ」へのオマージュ。公式練習中には初成功を狙っていた4回転トーループ―3回転半も降りた。「ここまで練習してきたものが凄く重いもの。その成果を少しでも出したいと思った」。偉大なスケーターの母国で、逃げるという選択はなかった。
自身初の2連勝、日本男子初のGP10勝目を挙げ、2季ぶりのファイナル出場を決めた。だが、代償は大きい。演技後は松葉づえを突く、痛々しい姿があった。「明日(エキシビション)も厳しい。ファイナルについては考えないといけない。調整期間も考えると、全日本選手権も厳しい」。年内の試合に黄色信号がともるが、数々の困難を乗り越えて五輪連覇を達成した絶対王者は、きっとまた、奇跡の復活を果たす。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181118-00000020-spnannex-spo