氷上競技 夏の節電が死活問題 対応追われるスケート場 (2011年06月28日)
東日本大震災を発端に節電が叫ばれる今夏、関西で15%の節電要請があるなど、影響は全国各地に広がる。スポーツ界では電力に頼る部分が大きいスケートリンクが対応に追われ、オフの時期に強化に励む氷上競技の選手には練習場所の確保など死活問題だ。
フィギュアスケート男子のホープ、羽生結弦(宮城・東北高)が練習拠点とする仙台市泉区のアイスリンク仙台は震災でリンクのある建物が損壊し、中に入ることができない。運営する新井照生支配人は「7月末か8月ごろには再開したいが、建物の工事がどうなるか」と気をもむ。
このリンクでは夏場、氷を維持するだけで月に約200万円の電気代がかかるという。氷を張る作業は電気代が1.5倍になることもある。同支配人は「この夏に莫大(ばくだい)な電気を使っていいのか」とためらいもあるが、経営を考えると再開を簡単に先送りできない。
夏も営業する屋内リンクは全国に40あまり。大阪府高石市の臨海スポーツセンターは節電要請に「15%は厳しい。営業停止すれば簡単だが…」と戸惑いながら対応策を練る。アイスホッケーの試合が多い東京都西東京市のDyDoアリーナは照明を落としているが「氷の質は簡単には譲れない」と意地もある。一般的に室温が20度を超えると氷上に水が浮くため、昨年のような猛暑は「本当に厳しい」とどのリンク担当者も口をそろえる。
電力に頼らないリンクもある。アイスホッケーのアジア・リーグ、東北フリーブレイズが練習する八戸市の南部山アイスアリーナの冷凍機は重油式だ。横浜市の新横浜スケートセンターはガス式の冷凍機を備える。
日本スケート連盟は愛知県豊田市にリンクを持つ中京大に、拠点を失った羽生のようなフィギュアの強化選手の受け入れを要請した。吉岡伸彦フィギュア強化部長は「閉めるリンクが出てくるのでは、という心配はある。連盟として何とか(営業を)お願いしたい」と厳しい夏をにらんだ。
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/06/20110628t14002.htm