お菓子屋さん巡りを終えた後は、バスに揺られ愛国駅を目指します。
車が蔓延る今のご時世、バスの利用者はどこもご年配の方々ばかりですが、その中でも帯広は特に多いように見受けられました。調べてみたところ高齢な利用者へのサービスが充実しているんですね。外に出歩くきっかけにもなりますし、素晴らしい制度だと思います。
バス内では9割眠っていた私ですが、唯一覚えていた出来事をひとつ。
誤ってリップクリームの蓋を落とし、それは転がって乗車口の近くへ。案の定乗車してきたおばあちゃんが踏みつけてしまったのですが、意外にも割れることなく弾かれ、ピンボールのようにそこら中を駆け回りました。皆が目で追い、その後何事もなかったように車内は平穏を取り戻したのですが、リップクリームの蓋って意外と頑丈なんですね。人が踏んでも壊れない強度というのはプラスチックにしては中々です。メンタームのリップ、侮るなかれ。
さて愛国駅へ。JR帯広駅から約35分ほど。
無事という言葉からは程遠いくらい見当違いな農園を歩き回り、住人のおばあちゃん二人組に「さっきから何してるのあんた」と声をかけられ、親切に道案内をして下さったため到着することが出来ました。
ゴールデンウィーク明けの平日ということもあり人気はほとんどなく、一組のカップルと、水風船で遊ぶ親子がいるだけ。そして一人の私。ノンジャンルな組み合わせです。
駅舎が小さな記念館になっているのですが、一枚目の写真の正面入り口は封鎖されており、裏側から回って入ることになります。
幸福駅では名刺や切符を貼り付けることで有名ですが、愛国駅も同じように沢山の紙や切符が貼り付けられています。(切符は近くのお土産屋さんで購入することが出来そうですが、本当に小さなお店なので買うには相当の勇気が必要です。)
無粋だとは思いつつ少しだけ読んでみると、「また一緒にこようね」「大好き」などの愛に溢れたものから、「SMAPがまたライブしてくれますように」「嵐のライブ当選祈願」といったジャニーズ系まで様々な内容が書かれておりました。これもまた愛。叶って欲しいですね。
裏側はこんな感じ。蒸気機関車はとても綺麗に整備されておりました。
ハート型の噴水も写真に収めたかったのですが、前述の通り親子が微笑ましく水風船で遊んでいたのでやめました。水風船、昔はよく遊んだなあ。
こじんまりとした小さな駅ですので、10分もあれば見終わると思います。
幸福駅は、愛国駅からバスで20分くらい。
愛国駅は住宅の中にぽつんとありましたが、こちらはだたっ広い草原の中。駅から2、3分歩いたところに見つけられます。
バス時刻の関係から観光する時間は20分ほど。急ぎ足で幸福を捕まえに行きました。
観光客一番の目的であろう駅舎。公式ホームページの写真は少々古いのではないでしょうか。現在の幸福駅は、愛国駅の比ではない位大量の切符が壁一面貼られています。沢山の人の幸せや愛、願いで溢れている…とは思いますが、余りにもびっしりすぎて怖くなってしまいそそくさと通り抜ける事に。
(こちらもお土産屋さんで切符を購入することが出来そうです。)
抜けた先には可愛い幸福の鐘が。
これを鳴らせば私も幸せに…と軽はずみな気持ちで紐を揺らしたのですが、想像以上に大きな音が鳴り響いてしまい、誰もいないのにその場から逃げ出しました。
とても大きな音です。お一人様はご注意ください。
また、当時のディーゼル車も立ち入り自由で展示されておりました。
鉄道や機関車、電車には疎い私ですが、無人の錆びれた車内は少し魅力的でした。もしも私がアーティストだったらばPVでも撮りたかったくらいです。残念ながらごく普通の会社員であります。
ただこの無人の状態は恐らく平日だったからでしょう。それ故の魅力に気づけた点ではラッキーだったと思います。平日の幸福駅、オススメです。
20分という短い時間でしたが幸福駅を満喫した後、一旦ホテルへと戻ります。
19時に北の屋台へ出向く予定でしたので、それまでひと眠りいたしました。
目が覚めた時には22時半でした。
今回の旅は総合的に見てもとても良い旅だったのですが、唯一後悔しているのはここだけです。少しだけのはずが思いっ切り眠りこけてしまいました。こうならないようバスの中でもたっぷり睡眠を取った筈なのに、何故…。
悩みました。かなり悩みました。もうこのまま寝てしまって明日への体力を温存しておくか。少しだけでも北の屋台に行くか。
しかし折角ここまで来たのだから、と奮い立たせ、いざ北の屋台へ。
昼間はこのような看板でしたが、夜になると
また別の趣がある看板に変わります。
閉店時間も迫っていたため急いでお店探し。どこのお店からも楽しそうな声が。
ただ一人旅をするわりに緊張しいな性格故、笑い声がする度に選択肢から外していきます。
不審者の如くウロウロする私を見つめる『いきぬきん』の目線も辛くなってきたところで、意を決して屋台に入りました。
偶然その時間はお客さんがおらず、どうやら私だけの様子。喋りが多少覚束ない優しい顔のおじいちゃんが出迎えてくれました。
海鮮とおでんがおすすめだそうなので、ビールとおでんを注文。
ご夫婦で営んでいるそうですが、お二人とも気さくに話しかけてくれたため、緊張の糸はすぐ解けました。
旦那さんは一人旅を「凄いね、いいですね」と褒めてくれ、奥さんからは「観光にくるならバスではなく車で来るべきだった」とアドバイスも。どちらも私のことを考えてくれて嬉しかったのですが、「なんでマイナスなことを言うんだ」「次来る時のアドバイスだから前向きでしょうが」とあわや夫婦喧嘩になりかけておりました。とはいえなんだかんだ長年夫婦を続けられているんですから、これもまた仲良しの証拠なのでしょう。
最後の方では、帯広は合コンが盛んだから次はその目的でおいでという話題になっていました。自立心を求める旅ではなく、旦那さんを求める旅にしようかな…。
兎にも角にも行ってよかったです、北の屋台。
自立心を求めてin帯広③へ続く