以前に比べて前髪が薄くなった気がします。
小学生から中学生まで、楽さを求めて真ん中分けで過ごしていました。銀縁丸眼鏡に真ん中分けのフォークソングスタイル。緊張した時には、暖簾の如く両手で前髪をかき分けてしまう癖まで身についたものです。しかし高校に上がれば周りはオシャレな前髪ばかり。真ん中分けがあっても、菜々緒や、かつてのベッキーのように今時のものとして上書きされており、ザ・タイガースなんてどこにもいませんでした。
常にパーカーとジーンズだったお洒落に無頓着の私でさえも、流石にこの前髪はマズイとやっと気付きまして、工作用のはさみでぱっつんに切ってみたり、ヘアピンを柵のように差し込むなど試行錯誤を繰り広げます。最終的には、美容師さんが教えてくれた斜めに流す形で落ち着きました。
何事も一人で解決しようとせず、他人に頼った方が良い事もあるのだとこの時学んだと思います。
しかし折角前髪を流しても、時間が経つ程に真ん中に分かれてしまい元通り。長年連れ添った相棒ですから、そう簡単に離れてはくれません。
そんな悩みを解決してくれたのが、花王さんのケープでした。
ケープを使用するきっかけは、当時熱狂的に好きだった田村ゆかりさんという女性が、眉毛を見せたくないため前髪をスプレーでガチガチに固めてると知って真似したことからです。
「風が吹いても大丈夫」と語った彼女の言葉は本当でした。雨が降っても風が吹いても斜めの前髪は綺麗なまま。
ある日学校で「前髪固めてるよ」と発言した際、「AKBじゃん!」とクラスの子に笑われましたが、笑われたことが理解出来ないくらい当時の私はケープに感動していたのです。大人になった今振り返ってみると、何でもない日に突然前髪をガッチガチに固めてきた同級生を見たら確かに笑ってしまうかもしれません。引くでもなく、笑ってくれたことにむしろ優しさを感じます。
いつしか、ハード、スーパーハード、エクストラキープと、私の前髪はどんどん固くなっていきました。
固さこそ正義だと信じきっていた私は、本田翼の「ほぐしても大丈夫」というナチュラルケープのCMを見て呆れたこともありました。ケープは固くてなんぼだろと。
ついに大学ではクリスマスプレゼントに友達からケープを貰うくらい、私は真ん中分けからケープの女へとイメチェンすることに成功したのです。
すっかりケープの話になってしまいましたが、今私の前髪が薄いのは、もしかしてその愛しきケープを頭皮に当てすぎたせいかな、と思う事があるのです。
それはつい先日、歯を磨きすぎて歯茎が下がり、知覚過敏だと診断された時。
同じように、ケープも当てすぎて前髪が後退してしまったのではないかと。
加減って難しいですね。
今はこれ。
地下鉄の隣の学生、英文音読してたなあ。