小説:マンション屋さん 9 | マンション屋さんの溜め息

小説:マンション屋さん 9

入社して2年が経った。


小旗も順調に営業成績を伸ばし始めて、やっと営業という仕事がわかり始めてきた。


しかし、今週もお客様との商談を入れるために、予定を作るのに必死であった。


平日に会社で電話営業をしている部隊と外で飛び込み営業をしている部隊にわけられるのだが、


小旗は、電話営業部隊であった。


部長の高木は、今日は、すこぶる機嫌が悪い。


2時間おきの業務連絡を部長席で取っているのだが、あまり良い報告ではないので、その都度、大声でどなりちらしている。


ガチャン!!


ガッチャン!!


ガッチャン!!


電話を切ると時、苛立っているため、受話器を殴りつけるように置くので、かなり受話器の耳の部分が欠けていた。



と、思っていたら



ガチャーーン!!!


かなり大きい音がしたかと思ったら、受話器が粉々に砕け散ったのである。



今月2回目だ。


何事もなかったように営業事務が新しい電話に交換していたが、ある種、特異な構図であった。



それから1時間後、ある課長が高木の餌食になっていた。


今月は圧倒的に数字が低く目標数字より2億も足りない。


社内に怒声が響きわたった。



と、同時に電話営業をしていた、小旗を含め10名は、机の下にもぐりこんで、喋り始める。



別名、


避難警報


「毎度のことだ。」


小旗は、当たり前のように慣れ始めている自分が怖くも感じていたが、それ以上に、週末の



「予定は?!」


の問いかけに、胃が痛くならないように、電話を打ち続けてた・・・。