プアジャパン――インフレ世界を生き抜く資本戦略/橘玲 26209 | 年間365冊×今年22年目 武道場主 兼 投資会社・コンサル会社   オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

プアジャパン――インフレ世界を生き抜く資本戦略/橘玲 26209

 

★★★★★

橘玲さんの新刊。

 

国家破産はこわくない/橘玲 18137

 

日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル/橘玲 14125

 

の骨格を残しつつ、全面的に書き直したものとのこと。

 

第一章の

 

 日本人を待っていた浅い眠り2026年版

 

という「どんどん貧しくなる日本」をシュールに

描いた近未来小説がなんともエグイ。

 

 ひとは見たいものしか見ない」と述べたのは

 古代ローマの英雄ユリウス・カエサルで、

 戦場の指揮官と兵卒が、

 同じ状況に置かれてもまったく異なる報告をすることに

 氣づいたからだとされます。

 

 その後、この箴言は心理学で、

 自分にとって都合のいい情報や信念のみを受け入れる

 「確証バイアス」と呼ばれるようになりました。

 

 だとしたらわたしたちも、この国の「不愉快な現実」から

 無意識に目を背けているのかもしれません。

 

その「不愉快な真実」を突き続ける橘玲さん。

さらにこんなことも。

 

 日本にも「格差拡大」を批判するひとがたくさんいますが、

 じつは日本こそが理想的な「格差の小さな国」でした。

 でもこれは、喜ばしいことばかりではありません。

 突出した富裕層が少ないということは、

 自らの才能や能力を活かして大きな成功を手にすることが

 難しい社会であることを表わしてもいるからです。 

 これらのデータをひと言で要約するなら、

 「日本ではみんなが平等に貧しくなったことで、

  格差が拡大しなかった」になるでしょう。

 

結果やデータから見ればそうなのだろう。

富裕層などを目指さなくても、

そこそこ楽しく生きてこれたから

動機付けなされなかった、ともいえるかもしれない。

 

 現役世代にとっての「家計の防衛」とは第一に、

 資産のなかでもっとも大きな人的資本を保守し、

 さらに大きくしていくことです。

 でもこれは、いまの会社にしがみつくことではありません。

 会社はもはや社員の人生の面倒を見てくれないし、 

 10年後に存在しているかもわかりません。

 だとしたら、労働市場のなかで評判を高め、

 いつでも転職や独立ができるようにしておくことが大切になります。

 

 このように考えれば、現役世代にとっての金融資産は

 老後の準備というよりも、自由な人生のための「保険」になるでしょう。

 

 この会社員が3000万円、あるいは5000万円の

 金融(不動産)資産をもっていたとすると、

 パワハラやセクハラをする上司に耐える必要はなくなります。

 会社から違法な、あるいは(あなたの)倫理観に反する業務を

 指示されたときも、「私はそんな仕事はしたくありません」と

 即座に辞表を出すことができます。

 

 日本でも欧米でも FIRE(経済的独立と早期退職)が人氣ですが、

 十分な資産をもつ理由は働かないことではなく

 (これは一般に「失業者」と呼ばれます)、

 会社に依存しない選択を確保するためなのです。 

 

FIREとは会社に依存しなくても困らない選択肢を持つ、

本当にその通りだと思う。

 

本書はこの後、「インフレ時代にも困らない金融商品の選び方」を

教えてくれるのだが、「デフレ脳」に染まり切って

「確証バイアス」から自由になれていない自分を自覚する。