
第三次世界大戦を阻止するのはトランプしかいない/佐藤優 26206

★★★★★
タイトルがあまりにショッキングなので
少々の間敬遠してしまっていたが読んで良かった。
さすが佐藤優さんの分析。唸らされることばかり。
このタイトルに関しての「答え」はここかと。
彼はイデオロギーに左右されず、
自国の利益のみを念頭に政治を行うからである。
それは必ずしも道義的に正しいわけではないかもしれないが、
各国のエゴイズムが衝突する新帝国主義時代において、
平和を維持するためには現実的に最良の方法といえる。
なるほど。正義と正義がぶつかれば正解は無いが、
自国の利益という「分かりやすぎる尺度」だけで判断をしているのか。
イスラエルの友人たちがよく語るのは、
「全世界に同情されながら死に絶えるよりも、
全世界を敵に回してでも戦い、生き残る」という決意である。
こうした考え方を持つイスラエル人は、
日本に来ると靖国神社を訪ね、隣接する遊就館の展示、
とりわけ特攻機を見て強い感銘を受ける。
彼らにとって、命を捨てて祖国を守る行為は高く評価されるべきものであり、
「自らも学ぶべき点が多い」と語る者も少なくない。
さらに、昨年7月にテルアビブを訪れた際、
あるイスラエル人が半ば自嘲氣味に
「われわれはいわば中東の北朝鮮と世界から見られている」
と語ったことがある。
しかし、この認識は必ずしも誤りではない。
要するに、民族が生き残るためには何でもするという姿勢があるのだ。
その点でイスラエルには北朝鮮と通じる側面がある。
だがヨーロッパ人にはそれが理解されにくい。
イスラエル側の論理はこうだ。
すなわち、第二次世界大戦期にナチスが
600万人のユダヤ人を虐殺した際、
どの国の国民も助けの手を差し伸べなかった。
そうした人々が、現在のハマスへの攻撃に対して何を言えるのか
──これがイスラエルの基本的な認識なのである。
ここで重要なのは、善悪の判断を先に置くのではなく、
まず、事実関係を冷静に把握することである。
2023年10月7日、ハマスが攻撃を行い、
多くのイスラエル人が殺害された。
その中には赤ん坊や多数の一般市民も含まれていた。
ロイターは、「イスラム組織ハマスが 7日に行ったイスラエルへの
大規模攻撃で、イスラエル側の死者は 250人を超えた」と
報じている(ロイター日本語デジタル版、 2023年 10月 8日)。
これは厳然たる事実である。
そして、この事実に対して当事者ごとの認識
──イスラエル側、ハマス側、ハマスではないパレスチナ人、
さらにはヨーロッパ人──が
それぞれ異なっていることを確認する必要がある。
そのように分けて考えた上で全体を統合し、
評価を下すのはわれわれ自身でなければならない。
中東情勢への鋭い洞察。
やはり「善/悪」のレンズだけで見ると
決して中東情勢は理解できない。
要するに、科学的主張であるためには真偽値が確定できること
―――すなわち反証可能であることが不可欠なのである。
こうした反証可能性に基づく思考方法は、
ビジネスにおいても国際情勢の分析においても有効である。
実際、私が論壇で20年以上生き残ってきたのは、
こうした古典的な分析装置を駆使してきたからだ。
この方法によって確実に情勢を分析でき、さらにマルクス経済学
――すなわち労働力や商品化といった枠組み――を加味することで、
より正確な分析が可能になる。
これは古い装置を用いた方法に他ならないが、
今日なお決定的に重要なアプローチなのである。
本書で用いた方法も、この新カント主義とマルクス経済学を
基盤としたものであ り、政治的・経済的問題はどのような形を取ろうとも、
確固たる方法論に立脚すれば誤ることはない。
この点を強調して本書を締めくくることとしたい。
佐藤優さんの分析手法の手の内を見せて頂いたが、
これはなかなかマネできる処ではないな。。。
諦めずに学び続けたい。
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