
危ない読書 教養の幅を広げる「悪書」のすすめ/佐藤優 26095

★★★★★
「アブナイ」ものは、魅力的である。
古今東西の「アブナイ」本のエッセンスを
佐藤優さんなりの解釈を踏まえて紹介してくれる本。
『国体の本義』はファシズムだけではなく、
共産主義も自由主義も日本には合わないとした。
国のあり方としては、自助型でも公助型でもない、
共同体や家族の延長線上として
お互いを助け合う「共助」の国家であるべきだと言った。
現代でも通用する至極真っ当なことを言っている。
ところがこの作品が国民に広まる段階で
ごく一部のテキストが恣意的に切り取られ、
本来の趣旨とは正反対の使われ方をされてしまった。
なぜそのようなことが起きたのか。
それは結局、人間の読解力は
自分の先入観を超えることが難しいからだろう。
読む前に無意識の結論があり、
パッチワークのように都合のいいところだけを
読み取っていくのが多くの人の本の読み方である。
客観的にテキストと向き合い、
テキストの論理に内在して読む行為ができるのは、
特殊な訓練を受けた人に限定されてしまうのだ。
最も響いたのが
「パッチワークのように都合のいいところだけを読み取っていく」
まさに自分の読み方だ。
だから多数の本を読めるとも言い訳できるが、
「自分を変える」ことが読書の目的だとしたら、
とても宜しくないことだろう。
おわりに
かなりアクの強い本を選んだため解説だけで
胃もたれ氣味の人もいるかもしれない。
もちろん実際に作品を読むことで、
さらに強烈な体験ができること請け合いである。
最終節の『地球星人』の解説でも書いた通り、
「悪書」と向き合うにあたって重要なことは
「そこになにが書かれているか」よりも、
「それを読んだ自分がどう感じたかを知ること」である。
多くの人にとって異質に感じられる著者や作品を選んだつもりだが、
ある作品は違和感なく読めて、
ある作品はざらざらした印象ばかりが残るかもしれない。
その反応の仕方は人によってバラバラだ。
自分にとって何が素直に受け止められて、
何が拒否感を覚えるか。
それが「自分を知る」ということなのだろう。
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