
戦後民主主義に僕から一票/内田樹 25303

★★★★★
内田樹先生の身も蓋もないお話。
たまに、無性に読みたくなる。
なんだ、そうだったのか……と統治者たちは氣がついた。
60年代からの市民の動きを観察した結果、
そこそこ懐が温かいと市民は権利意識に目覚め、
さらに懐が温かくなるとむしろ非政治化し、
貧乏だとまったく非政治的になる」というきわめて特異な歴史法則が
日本社会を支配していることが知れたのである。
これはよいことを聴いた。
それなら、統治コストを最小化したければ、方法は二つあることになる。
市民たちを全員富裕にして、
朝から晩まで金儲けのことだけ考えさせるか、
あるいはその反対に徹底的な、救いのない無権利状態に置けばよい。
金儲けに夢中の市民も、明日の米びつの心配だけで
頭がいっぱいの市民も、政治的には非活動的になる。
だったら、一部の市民だけを富裕化させ、残りを貧困化させ、
中産階級を消滅させれば、
この世から政治意識の高い市民は根絶される、と。
そこに気づいたのである。官邸にもなかなか知恵者がいる。
なるほどぉ~。誰も知りたくない真実、なのかも。
今日本で起きている絶望的なまでの政治家の質の劣化は
何に起因するのか。
結論から言うと、それは「日本はアメリカの属国でありながら、
その事実を否認している」という事実に由来する。
日本社会に蔓延している異常な事態の多くは
それによって説明可能である。
ニーチェによれば、弱者であるがゆえに欲望の実現を阻まれた者が、
その不能と断念を、あたかもおのれの意思に基づく主体的な
決断であるかのようにふるまう時、
人は「奴隷」になる。
「主人の眼でものを見るようになった奴隷」、
それが真の奴隷である。
彼にはもはや二度と自由人になるチャンスが訪れない。
日本はアメリカの属国であり、国家主権を損なわれている。
これは敗戦国にしてみると「よくあること」である。
しかし、属国であるという事実を、他国による強制ではなく、
「おのれの意思に基づく主体的な決断」であるかのように思いなす国は、
自らの意思で「属国」身分を選んでいることになる。
これは「真の属国」である。
もう二度と主権国家になるチャンスは訪れない。
なるほど~。ここにニーチェをかぶせるか。
たしかにその通り、然り然り。
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