宗教の現在地 資本主義、暴力、生命、国家 池上彰 佐藤優 23254 | 年間365冊×今年22年目 武道場主 兼 投資会社・コンサル会社   オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

宗教の現在地 資本主義、暴力、生命、国家 池上彰 佐藤優 23254

 

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偶然だがアメリカ同時多発テロ事件の日、911に読む。

宗教の暴力、怖さを身に染みた日、でもあった。

 

 佐藤

 実は仏教でもイスラム教でも神道でも、

 エキュメニカルな思考・行動をする人と、

 ファンダメンタルな人と、両方がいます。

 そのファンダメンタルな人のごく一部に、

 暴力を使って他者に自分たちの思想を強要する、

 あるいは暴力によって他者を排除しても

 構わないと考える人たちがいるのです。

 ところが、その人たちの思考には、

 きわめて共通した面白さ──敢えて「面白い」と言います──があります。

 それはまず、自分たちの宗教のために

 自分の命を捨てる覚悟ができていること。

 そして命を捨てる覚悟があると、

 途端に他者の命を奪うことに対するハードルが低くなることです。

 

・・・とっても怖いね。

全く違う思想、価値観、判断基準を持つ人がいる。

これは日本人にはなかなか想像できないところ。

 

 池上

 本当に世界の終わりが近いという危機に瀕したとき、

 これからどうやって生きたらいいかわからないときこそ、

 人々は救世主や教え導く人を求めるのだと言えます。

 そういうときこそ宗教が役割を果たすことを、

 こうした危機を訴える思想は示しています。

 

 そのような観点からみると、

 「 A Iによってシンギュラリティがやがてやって来る。

  シンギュラリティが来たら、私たちの仕事はなくなってしまうのだ」

 という危機を訴えるA I教という宗教があるように感じます。

 A I教が客観的に果たす役割があるのではないかと。

 

 佐藤

 それは同感です。「悔い改めよ。神の国は近づいた」の代わりに、

 「悔い改めよ。シンギュラリティは近づいた」と言う。

 それで今までの律法はすべて廃され、

 今までの仕事はすべて廃される。

 そうして新しい時代がやってくるのだということで、

 基本的には洗礼者ヨハネやイエスと同じフレームで人を煽っています。 

 ということは、キリスト教をよく勉強しておけば、

 人を煽り、政府から助成金を得、

 民間からカネを吸い上げる形で儲けることができる。

 その秘訣はキリスト教の中にあるから、

 神学を勉強すると金儲けにつながるかもしれない。

 このようになるのではないでしょうか。

 

 池上

 佐藤さん、本当にクリスチャンですか?

 

 佐藤

 もちろん洗礼を受けた正統派のクリスチャンです。

 

佐藤優さんのぶっちゃけトークが面白い。

ここまで冷静に多角的に自らの信仰を客観視できることと

深い信仰というのは両立できるものなのか。

 

 先ほど、インドでは馬小屋を王宮に変えて布教したと言いました。

 これは、シンクレティズム(宗教混淆)の一種です。

 このシンクレティズムは日本をはじめ、

 どこにでもあるわけです。

 たとえば、キリスト教の原形は砂漠の宗教だから、イスラムに近い。

 それが哲学や学問体系と結びつくのは、

 ギリシア思想、ギリシア哲学とのシンクレティズムでしょう。

 カトリック教会の場合は、教会法ができることで

 秩序、ヒエラルキーが生まれてくる。

 これはローマ法とのシンクレティズムです。

 ドイツの教会が民族と結びつきやすいのは、

 ゲルマン的な部族神話とのシンクレティズムです。

 それぞれの地域でシンクレティズムはある。

 だから「土着化」とも言うわけです。

 純粋なるキリスト教など、存在しません。

 

本書前段にもあったが「キリスト教だから・・・」「日本人だから・・・」

とステレオタイプに考えるのはダメだ、ってことなのだろう。

「思考停止」の怖さを改めて思い知る。