街場のメディア論/内田樹 22015
★★★★★
18冊目の内田樹さんの本。
やっぱり内田樹さんは中毒性がキツイ(笑)。
もやもやと「なんなんだろうなぁ」と違和感を覚えていたことを
ばっさばっさと切り刻んでくださり、
「ああ、そうだったんだ、そう考えれば良かったんだ!
内田樹さんありがとうございます!」
と激しく頷くこと、頻り。
繰り返し言うように、人間がその才能を爆発的に開花させるのは、
「他人のため」に働くときだからです。
人の役に立ちたいと願うときにこそ、人間の能力は伸びる。
それが「自分のしたいこと」であるかどうか、
自分の「適性」に合うことかどうか、
そんなことはどうだっていいんです。
とにかく「これ、やってください」と懇願されて、
他にやってくれそうな人がいないという状況で、
「しかたないなあ、私がやるしかないのか」という立場に立ち至ったときに、
人間の能力は向上する。
ピンポイントで、他ならぬ私が、余人を以ては代え難いものとして、
召喚されたという事実が人間を覚醒に導くのです。
宗教の用語ではこれを「召命」( vocation)と言います。
神に呼ばれて、ある責務を与えられることです。
でも、英語の vocationにはもう一つ世俗的な意味もあります。
それは「天職」です。callingという言葉もあります。
これも原義は「神に呼ばれること」です。
英和辞典を引いてください。
これにも「天職」という訳語が与えられています。
「天職」というのは就職情報産業の作る適性検査で
見つけるものではありません。
他者に呼ばれることなんです。
中教審が言うように「自己決定」するものではない。
「他者に呼び寄せられること」なんです。
自分が果たすべき仕事を見出すというのは
本質的に受動的な経験なんです。
そのことをどうぞまず最初にお覚え願いたいと思います。
うわっ、これ、学生や若手ビジネスパーソンに言っていることと同じだぁ。
「こんな会社入っちゃった」
「こんなところに異動になちゃった」
という悩める若者(たまにオジサン)に
こういえば確かにもっと伝わりそう。
あと、医療と教育に関し市場原理を持ち込んではいけない、
という指摘。これは声を大にして言いたいところだなぁ。
知識やサービスの対価を得ることを主目的として
教育者は仕事をしているのではない(と思いたい)。
後進の皆さんに何としてでも伝えたいという
「教育愛」「教育熱」に突き動かされているからだ。
「おお、そうだったんだ!先生ありがとう!」
というあの笑顔をまた見たいだけ。
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