寝ながら学べる構造主義/内田樹 21346 | 年間365冊×今年22年目 武道場主 兼 投資会社・コンサル会社   オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

寝ながら学べる構造主義/内田樹 21346

 

★★★★☆

中毒性のある内田樹さんの本。

これほど同じ著者の本をばかり、

しかもほとんど繰り返さずに読む、

というのはあったかな・・・?

 

 世界の見え方は、視点が違えば違う。

 だから、ある視点にとどまったままで

 「私には、他の人よりも正しく世界が見えている」と

 主張することは論理的には基礎づけられない。

 私たちはいまではそう考えるようになっています。

 このような考え方の批評的な有効性を

 私たちに教えてくれたのは構造主義であり、

 それが「常識」に登録されたのは四十年ほど前、

 一九六○年代のことです。 

 

 構造主義というのは、ひとことで言ってしまえば、

 次のような考え方のことです。 

 

 私たちはつねにある時代、

 ある地域、ある社会集団に属しており、

 その条件が私たちのものの見方、感じ方、

 考え方を基本的なところで決定している。

 だから、私たちは自分が思っているほど、

 自由に、あるいは主体的にものを見ているわけではない。

 むしろ私たちは、ほとんどの場合、

 自分の属する社会集団が受け容れたものだけを

 選択的に「見せられ」「感じさせられ」「考えさせられている」。

 そして自分の属する社会集団が無意識的に排除してしまったものは、

 そもそも私たちの視界に入ることがなく、

 それゆえ、私たちの感受性に触れることも、

 私たちの思索の主題となることもない。

 私たちは自分では判断や行動の

 「自律的な主体」であると信じているけれども、

 実は、その自由や自律性はかなり限定的なものである、

 という事実を徹底的に掘り下げたことが

 構造主義という方法の功績なのです。

 

なるほど。。自分の考え方が「構造主義」などとは思わなかったが

まさに「構造主義」の世界で考え暮らしているのだ。自覚無く。

 

 技芸の伝承に際しては、

 「師を見るな、師が見ているものを見よ」

 ということが言われます。

 弟子が「師を見ている」限り、

 弟子の視座は「いまの自分」の位置を動きません。

 「いまの自分」を基準点にして、師の技芸を解釈し、

 模倣することに甘んじるならば、

 技芸は代が下るにつれて劣化し、

 変形する他ないでしょう。

 (現に多くの伝統技芸はそうやって堕落してゆきました。)

 それを防ぐためには、師その人や師の技芸ではなく、

 「師の視線」、「師の欲望」、「師の感動」

 に照準しなければなりません。

 師がその制作や技芸を通じて

 「実現しようとしていた当のもの」を

 ただしく射程にとらえていれば、

 そして、自分の弟子にもその心像を受け渡せたなら

 、「いまの自分」から見てどれほど異他的なものであろうと、

 「原初の経験」は汚されることなく時代を生き抜くはずです。

 

これは良い。伊與田覺先生が安岡正篤師から言われた言葉、

 

 あるとき、安岡先生から言われたことがあります。
 「君は僕の形骸を学んではいけない。

  僕は孔子の求めたものを求めて学んだ。

  君は僕の求めたものを求めて学べ」

 

と同じ意なのだろう。

 

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