佐藤一斎『重職心得箇条』を読む/安岡正篤 17178
- 佐藤一斎『重職心得箇条』を読む/安岡正篤
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今回響いたのはここか。
大臣の心得は、先づ諸有司の了簡を尽くさしめて、
是れを公平に裁決する所其の職なるべし。
もし有司の了簡より一層能き了簡有りとも、
さして害なき事は、有司の議を用いるにしかず。
有司を引き立て、氣乗り能き様に駆使する事、
要務にて候。
又些少の過失に目つきて、人を容れ用いる事ならねば、
取るべき人は一人も無き之れ様になるべし。
功を以て過を補はしむる事可也。
又堅才と云ふ程のものは無くても、
其の藩だけの相応のものは有るべし。
人々に択り嫌いなく、愛憎の私心を去って用ゆべし。
自分流儀のものを取り計るは、水へ水をさす類にて、
塩梅を調和するに非ず。
平生嫌ひな人を能く用いると云ふ事こそ手際なり。
此の工夫あるべし。
こう言われると少しでも痛みを感じる、
というのは謙虚さを失っている、
ということに他ならない。
大いに反省せねば。
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