海賊とよばれた男(上)/百田尚樹 16121 | 分譲マンション屋の読書日記
2016-04-29 04:11:31

海賊とよばれた男(上)/百田尚樹 16121

テーマ:小説
海賊とよばれた男(上)/百田尚樹
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★★★★★


前回は部下からお借りして読んだ本だが、

今回は購入して再読。

群馬への出張の行きしなに持っていた本2冊を読み終わってしまったので、

現地の本屋でもとめた。


3年ぶりだが、国岡鐵造や国岡商店の店員たちの言動に熱くなる。


 鐵造は檀上から社員たちを見渡した。

 皆、一様に不安そうな顔で自分を見つめている。

 戦争が終わったのは二日前だ。

 日本はどうなるのか、会社はどうなるのか、

 家族たちはどうなるのか―

 鐵造には彼らの恐怖が痛いほどわかった。

 だからこそ、彼らに言わなくてはならない。


 「今から、皆の者に申し渡す」

 鐵造の背は一七〇センチ近くある。
 明治十八年生まれとしては大柄な男だ。
 その鐵造を見つめる六十名の社員がいっせいに強張った。

 壇上で鐵造と少し離れて立つ
 常務の甲賀の全身にも緊張が走った。
 甲賀は、店主が国岡商店の終わりを告げるのだろうと思った。

 国岡商店は鐵造が一代で築き上げた石油販売会社であったが、
 戦前戦中、活動の大部分を海外に置いていた。
 戦争に負けたということは、
 それらの資産がすべて失われるということを意味していた。
 鐵造のもとで三十年もともに頑張ってきた甲賀にとっては、
 国岡商店の解散は、終戦にも等しい悲しみであった。

 鐵造はゆっくりと、しかし毅然とした声で言った。

 「愚痴はやめよ」

 社員たちははっとしたように鐵造の顔を見た。
 甲賀もまた驚いて鐵造を見た。

 「愚痴は泣きごとである。
  亡国の声である。
  婦女子の言であり、
  断じて男子のとらざるところである」

 社員たちの体がかすかに揺れた。

 「日本には三千年の歴史がある。
  戦争に負けたからといって、
  大国民の誇りを失ってはならない。
  すべてを失おうとも、日本人がいるかぎり、
  この国は必ずや再び立ち上がる日が来る」

 甲賀は自分の体が武者震いのようにふるえてくるのを感じた。

 鐵造は力強く言った。

 「ただちに建設にかかれ」

 社員たちの背筋が伸びるのを甲賀は見た。
 ホールの空氣がぴんと張りつめたような氣がした。

 しんと静まり返った中に、鐵造の声が朗々と響いた。

 「昨日まで日本人は戦う国民であったが、
  今日からは平和を愛する国民になる。
  しかし、これが日本の真の姿である。
  これこそ大国民の襟度である。
  日本は必ずや再び立ち上がる。
  世界は再び驚倒するであろう」

 店主の氣迫に満ちた言葉に、
 甲賀は体の奥が熱くなるのを感じた。

 鐵造は檀上から社員たちを睨みながら、
 「しかしー」と静かに言った。

 「その道は、死に勝る苦しみと覚悟せよ」



上越新幹線での帰路、
思わず涙があふれてくる。
日本人に生まれて、本当に良かった。


海賊とよばれた男 下/百田尚樹 13171
海賊とよばれた男 上/百田尚樹 13165

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