甲野善紀先生 講演会 11月18日 「身体から起こす革命」に参加して | 年間365冊×今年20年目 合氣道場主 兼 投資会社・コンサル会社 オーナー社長 兼 グロービス経営大学院准教授による読書日記

甲野善紀先生 講演会 11月18日 「身体から起こす革命」に参加して

一昨日、慶應MCC夕学五十講の甲野善紀先生の講演会に、
スタッフとして参加させていただいた。

質疑も入れて2時間の講演会の中で、
甲野善紀先生の実技のお相手をさせて頂く、というもの。

慶應の丸の内キャンパスに集まった聴講生は200人くらい、だろうか。
インターネットで各地にも配信しているらしい。

技を盗み、覚える最高の方法は、
達人の技を繰り返し見て、
そしてその技を実際に何度も受けてみること、だ。

言葉だけでは伝わらないもの、感じ取れないもの。
そこに辿り着くための実に貴重な示唆を、
時折「受け」は得ることが出来る。
最も大きな収穫は、「人間はここまでになれる」
ということを身体を通して確認できること、だろうか。

甲野先生との稽古は今年の1月30日、
船川淳志さんと3人の稽古以来。

たった1年弱の間に、甲野先生の身体にどのような「革命」が
起こっているか。それが楽しみだった。

確か秋口に甲野先生からご連絡を頂いた時、
「真剣の方が木刀よりも振れるようになったんです」
と伺った。まずはそれを拝見したかった。

中柄を閉じて構える。
古の巻物などで天狗がそのような構えをしているのを
見たことがあったが。
それを思い出してから、講演中、先生が天狗にしか見えなくなる(笑)。

私は先生と正対して木刀を構える。
そこから先生は私の左に入った、と思いきや
次の瞬間には右から間合いを詰めて
真剣が私に触れるところまで近づいている。
うーん、正直なところ、何が起こったか全く分からない(笑)。
私も日本刀での稽古はするのだが、
あの動きの少なくとも10倍は遅い(涙)。

「ああ、今日は皆様にお見せする為の演武に来ているのに・・・」
と最初は固く心に留めておいたものが、ガタガタ外れ、
段々と単なる武道家の顔が出てくる。

一番驚いたのが片手での切り崩し。
「昔の汽車の窓ガラスの取っ手」を喩えに出されていたが、
理屈では何となく分かるものの、今までに無い技を受け、
私の身体の戸惑いが伝わってくる。
前の技よりも受け手の痛みや衝撃が少なく、
「こりゃ仕方ない感」が強いように感じるのが面白い。
何となくの直感だが、
「この技は、今の私には到底盗めない」と思ってしまった。

あと、技で驚いたのは平蜘蛛返し。

NHKの番組でも技を受けさせて頂いたのだが、
以前は肘と足の付け根に両手を入れていらっしゃったのだが、
今回は、私の片手だけを両手で持ってひっくり返したような。。。
技を受けているだけだと時折却って何をされているか分からないことがある。
稽古だと他の人に代わってもらうのだが・・・残念。


甲野善紀先生のお話も実に楽しい。
慶應MCC「夕学五十講」楽屋blog
等にも詳しいので、一番響いたことだけを。

観客の女性から出た質問に対しての先生の答え
「何を美しいと思うか」
という一言。

「審美眼」
武道にも、美しい人生を生きる為にも必要だね。