ぶっちゃけ原爆については、ピッと筋の通った意見を持ち合わせていない。
酷い兵器であるというのは、理屈としてはわかるのだが、今一つ感覚が追いついてこないというのかなあ。
原爆について最初に認識したのは漫画『はだしのゲン』だったが、小学生の私からすると、原爆後遺症のグロさばかりが印象深く、あと出てくる人々の醜い有様も重なって、読後感はただただ気分が悪いばかり。
それで原爆の話題自体が忌避すべき存在というところで思考停止してしまったんだなあ。
それ以降、被爆被害も含めた核兵器というものについて、真剣に向き合ってこなかった。
だからいまだによく分からないことも多い。
まず核兵器が悪いというが、それは主に破壊力について言っているのか、それとも放射能汚染について言っているのかが分かっていない。
どっちもダメと言われればそうなのだが、じゃあ東京大空襲と広島の原爆投下、どっちが悪いかといったら、もうよく分からない。
原爆だけが特別なもののように伝えられるが、それも含めた戦争による殺人は、押し並べて同質の悪行なのではないのか。
それともやっぱり原爆だけが特別に悪いのか。
宇宙戦艦ヤマトなどSFアニメ界隈では放射能汚染の悲惨さをより強調していたように記憶するが、じゃあ広島や長崎はどうだったかといえば、原爆が投下されて間もなくから、復興に向けての取り組みがなされてきたわけで、そもそも原爆による放射能汚染って、それほど深刻ではないんじゃないの? なんて思ったり……。
私が子供の頃には「核戦争による世界壊滅」なんてことが盛んに言われていたが、実際どんなものなのか。これも、ただ「怖い」と感じていただけで、リアルな想像をしたことはなかった。
詳しく調べたわけではないけれど、原爆が投下されてから広島や長崎周辺の動植物に奇形が多発して、自然環境そのものから変化したなんてことは寡聞にして知らない。
いま90代の人が「原爆被害」を訴え続けているなんてことがたまにニュースで流れたりもするが、90歳という高齢と原爆被害とい言葉のミスマッチさにも首をひねらされる。もちろん後遺症に苦しまされながら生き続けてきたということなのかもしれないが……。
本当に人類史上でも稀にみる残酷な兵器だというのなら、なんで野球で「原爆打線」「水爆打線」なんて言葉が使われたり、プロレス技に「原爆固め」「原爆落とし」なんて名前が付けられたりしたのか。
昔の人はそれほどモラルを欠いていた?
それよりは、戦後からしばらくの間は、言い方は悪いが単に「威力の高い兵器」としか、認識されていなかったんじゃないかなあ。
それが後年、いろいろと尾ひれがついて、核兵器=悪魔の所業みたいな印象になっていったのではないか?
いや、これらはただの私見であり、実際がどうかは知らんのだけれどもね。