なんだろう、不快だなあ。
粗品の動画。
「今に珍しい破滅型芸人なのかな?」と思って粗品のギャンブル系動画はたまに見るんだけど、なんかね。
「負けて大変だ」と口では言っているけど、こっちから見ると「いやいや全然大丈夫だろ」みたいな。
どのくらい借金してるのかは知らんし、このところ言っている税金の支払いというのもどのくらいかは知らんよ。
でも人並み以上に仕事があって会社もしっかりしてるんだから、そんなもんどーにでもなるわいな。
スパチャがどうとか言ってるうちは余裕のよっちゃんなわけでさ。
もしかすると本人の気持ちとしては本当に大変だと感じているのかもしれないけれど、かつて「マジで強盗でもするしかないか」ってぐらいカネに追い詰められた経験のある私のような人間からすると、「なにを安全地帯にいながら」とシラケた気分になってしまう。
大変さに本気度が感じられない。
ホントのホントに大変な人間は、地べたを舐めるようにして誰彼構わず頭を下げて回ってるよ。
上の動画では「カネを借りられそうな相手」ということで4人の名前を挙げているのだが、ネタにしてるつもりなのかなあ。
芸人として当然のふるまいと言えるのかもしれないけれど、私が見たいのはもっとむき出しの本音なんだよなあ。
阿佐田哲也の超名作ギャンブル小説『ドサ健バクチ地獄』で描かれたような、まさに命懸けの金策。
他にも借金を題材にした名作は小説にもマンガにもいろいろとあるわけだが、粗品の場合はその境地を経ずに上澄みのところでゴチャゴチャ言っているようにしか見えない。
そうした作品の足元にも及ばないのであれば、少なからずの人たちにとっては生き死にのかかる重大事である借金なんてものをネタにすべきではないんだよ。
同じ芸人の借金動画でも、以前ここで絶賛したヒコロヒーの「金借りチャンネル」は必死さや本気度がヒシヒシと感じられ、その上でエンタメにもなっている名作だった。
借金の額では粗品のほうが何十倍にもなるのだろうが、金額の多寡の問題じゃないのよ。