「日本は衰退している」なんてことを言う人がこの頃増えていて、たしかに経済的な指標をみれば停滞もしくは衰退していることに違いはなかろう。
で、そういうことを言う人たちの多くが「“日本は素晴らしい”なんてテレビで言ったり、そういった類の本が売れているのは、衰退しているからこその強がりで、断末魔の叫びのようなもの」などという。
ここで疑問を感じる。
「日本が衰退している」という人たちは、いったい何を守りたくてそのような批判をするのだろうか。
「日本は素晴らしい」という物言いに対しては「ただの強がり」「実態のないプライドに過ぎない」みたいなことを言って「日本の良さ」を認めていないのだから、きっと日本の伝統文化を守りたいというわけではないのだろう。
「いや、そういう日本の素晴らしい文化を守りたいから現状を憂いているのだ」なんて言うかもしれないが、それだと話が矛盾する。
「日本の衰退」と「日本は素晴らしい」は並列することなのに、なぜ「日本は素晴らしい」ということまで批判をするのか。
で、よくよくそういう人たちの話を聞いてみると、結局のところ「いまの若いもんは」ってことしか言っていなかったりして、滑稽だなと思ったりもする。
もちろんいろいろな面で日本が危機的な状況にあることは感じているが、それについても「一切憂いのない安泰」の状態にある国なんていったい世界にどれほどあるのか。たまたま日本の高度成長期からバブル崩壊後しばらくの間ぐらいまでが天国モードにあったというだけで、じつはいまぐらいが適正かそれよりちょい上なんじゃないかなとも思ったりもする。