ここのところ「他国へ行ってみたらこんな国だった」的なテレビ番組が増えているように感じる。
その手の番組の熱心な視聴者というわけではないのだが、たまにチラと見ると、どこの国の人々も幸せそうに暮らしている様子が映し出されている場面が目に付く。
その手の番組の熱心な視聴者というわけではないのだが、たまにチラと見ると、どこの国の人々も幸せそうに暮らしている様子が映し出されている場面が目に付く。
そりゃあまあ良いところを中心に番組は作られているんだろうから、そうなるのも当然なのだが、しかし翻って日本を見るときに疑念が起こる。
「世界3位の経済大国」なんて言われるものの、さて、庶民の生活はどうなのか、と。
トータルすればそこそこなのかもしれないけれど、中庸を越えることはなさそうだ。
社会インフラやかかる公共代金まで含めれば、全般的に日本よりも裕福な国は多いんじゃないか。
あくまでも印象だが、産油国であるUAEだのカタールだの、あるいは公共福祉の行き届いた北欧や、同じアジア地域ではシンガポールあたりと比べたときに、日本が豊かだとはとても断言できない。
自然環境の面でもやっぱり、いいところはあるけれど豊かってほどでもないだろう。
食料自給率となると全然だ。
文化にしても古来伝統のものから新奇なものまで雑多に揃っていて、個人的には満足しているのだが、じゃあたとえばイスラムの伝統を生活にまで厳格に取り入れる国とどっちが文化的に優れているのかとなったときには、やはり日本が上とは断言できない。
自由、自由というもののそれがゆえに不自由を招くということは往々にしてあるわけで、厳格な縛りをもうけることで他の面での自由を確保できるという面は確実にある。
身近なところでいえば「学校」だ。
校則で縛られ、一定の時間は外出もままならないが、その中での教育を受ける自由と身の安全は一応保障されている。
勉強と運動だけしていればいいという状況がどれだけ幸せなことかは、いい大人になって初めて感じることであり、そう考えれば実は縛られることもそうそう悪くもないような気がする。
校則で縛られ、一定の時間は外出もままならないが、その中での教育を受ける自由と身の安全は一応保障されている。
勉強と運動だけしていればいいという状況がどれだけ幸せなことかは、いい大人になって初めて感じることであり、そう考えれば実は縛られることもそうそう悪くもないような気がする。
共産主義や独裁はイコール悪とされるのが今では一般的だけれども、じゃあもし絶対的な力を持ち、なおかつ善賢なる傑物が独裁し共産制を敷いたとすれば、これは庶民にとっては半端な自由主義よりもよほど幸せな状況となるだろう。
問題は絶対的な傑物がなかなかいないということなのだが。
問題は絶対的な傑物がなかなかいないということなのだが。
話が逸れたがもとにもどって、我々のような「ジャパンアズナンバーワン」と経済成長を謳われ、バブルを経験してきた者は、どうしても「日本は豊かで金持ちで」なんて気持ちが染みついてしまっている。
しかも戦後、急激に成長した、いわば成金だという思いも強く、そうしたときに「世界の恵まれない国に援助しましょう」というのは、日本の伝統的精神としてあるものだ。
「情けは人のためならず」で「他者に良くすることで自分も良くなる」というように。
「情けは人のためならず」で「他者に良くすることで自分も良くなる」というように。
むやみに平和ばかりを唱え、中韓から無理筋な要求を突きつけられても「話せば分かる」「日本が大人の態度を見せるべき」なんてのんきなことを言うのは、こうした我々の世代とその前後、40~60代が中心だろう。
まだ日本が世界のトップクラスにいるという幻想に浸りきっているから、そんなのんきなセリフが出てくる。
だが、そんな幻想から醒めた人間や、そもそも幻想を抱く機会すら与えられなかった若い世代からすれば、「何を夢見心地なことを言っておるのだ」となる。
「現状をしっかり見つめ、守るべきものは守っていかないと、日本の存立すら危うくなるぞ」と。
そうした危機感から発せられた声を「ネトウヨ」などと蔑み、不勉強を指摘する声はあいかわらず強い。
左派ばかりでなく、保守系の人間からもそんな声を聴く。
左派ばかりでなく、保守系の人間からもそんな声を聴く。
だが現実に即しているのは果たしてどちらか。
なるほど庶民は知識に劣り学問はよくしないかもしれない。
だがそれは実感から発せられた声であり、これを収めるには、その実感を変えるしかない。
なるほど庶民は知識に劣り学問はよくしないかもしれない。
だがそれは実感から発せられた声であり、これを収めるには、その実感を変えるしかない。
つまり2000有余年の歴史を持つ日本が、未来永劫守られ存続していくという安心感があまねく得られないことには、いわゆるネトウヨ的言動が収まることはないということなのである。