1節遅れの開幕を迎えたヴェルディ。
スタメンは以下の通り。
平
飯尾 河野 高木俊
菊岡 晃誠
平本 健介
富澤 バウル
柴崎貴
SUB:土肥 祥平 飯田 福井 吉田 向 高木善
個人的予想メンバーでは、柴崎貴がスタメンであったことと、
SUBに富所ではなく飯田が入っていたことが違っていた。
まぁほぼ予想通りで迎えられたということ自体、
ベストに近い布陣だということが伺える。
さて、試合のほうはヴェルディが細かいパスワーク主体でポゼッションし
、熊本がロングカウンターを狙うという分かりやすい図式となった。
前半は基本的にはヴェルディペース。
だがポゼッションはするものの、効果的な崩しはなかなか見られず、
シュートシーンはほぼミドルシュートくらいに留まった。
もっとも、熊本も1つチャンスがあったくらいで、枠内シュートは0。
ほぼ危なげない前半であったと思う。危なげないからこそ、
ヴェルディに来て初スタメンの柴崎貴のぎこちなさが際立って見えた。
後半に入ると、熊本が前に出始めたことで試合がやや流れ出す。
そして52分、FKからヴェルディに先制点が。
ヘディングで合わせたのはまさかの平本。
今シーズンから左SBにコンバートされたが、SBの選手が
セットプレーでゴールを決めるというのは一つの効果で、それが結果として表れた。
今シーズンは小兵が多いため、セットプレーは望み薄と
思っていただけに、先制点がセットプレーからというのは意外だった。
意外だったからこそ、この後の展開は予想されるべきだったのかもしれない。
先制点を奪ってから5分くらいで、今度は熊本にセットプレーの
崩れからの折り返しを決められてしまう。
一度ヘッドからのシュートがポストに跳ね返って、
それを詰めていた松橋に決められてしまった。
その後は一進一退の攻防が続いていたものの、75分、熊本FW井畑に
PA内でキープされ、しっかりついていた富澤がまさかのポカミス。
反転されて角度のないところからゴールに流し込まれてしまった。
何れも運が悪かった部分もあるなぁという失点だった。
だが、こういう失点を喰らってしまうところが現ヴェルディの実力なのだろう。
その後は逃げ切りを図る熊本のゴールを割ることが出来ず、
悔しい敗戦となった。
もっとも、幾つかあった決定機はヴェルディのほうが多く、
それを決めきれていれば全く違った展開になっていたことは確実だろう。
勿論たらればを言っても仕方がないが、要するにチームの色という面は
しっかり見せてもらえたかな、という実感はあった。
川勝監督曰く、「徹底的な地上戦」で挑んだヴェルディが、
どういう意図で相手を崩そうとしているのか、という部分はだいぶ見えたと思う。
この試合で見せた攻めのパターンを抜粋してみよう。
◎攻撃は基本右サイド偏重。
攻撃力のある健介や、高木俊を生かすという面もあるが、
平や河野が右に流れやすいという面もあるだろう。
◎中盤のリズムは晃誠、菊岡、河野のトライアングルが作る。
特に菊岡のキープ力と前を向く能力は高く、今後への期待を持たせた。
◎左サイドでキープしたところから、大きなサイドチェンジで
右サイドへ、という展開が幾度か見られた。
これは意図してやっている部分だろうし、
これが最も効果的で分かりやすかった。
◎逆に右サイドが硬直した場合、左SBの平本にパス。
そのまま独走ドリブルでシュートまで行くという場面が幾度か見られた。
これが平本を入れることの一番の意義だろう。
前を向いて発進した平本はなかなか止まらない。
それがサイドならば尚更だ。
◎平はポスト役ではなく、裏を狙う役割。
◎ミドルシュートは今までより積極的。
◎サイドの深い位置まで行っても、簡単にクロスは上げない。
◎アタッカーの3人は積極手にきポジションチェンジをし、
相手のマーカーに的を絞らせづらくしていた。
ざっとこんなところか。
サイドチェンジの意識とアタッカーのポジションチェンジは効果的
だと思ったし、平本の左サイドのドリブルは面白いと思った。
ラインの後ろを狙う平も、2度ほど決定機があったし、ここも及第点。
何より、昨年と別人の運動量を見せた河野と、菊岡の二人が
見せたキープ力とドリブル、パスを織り交ぜたポゼッション力は、
今後に向けての可能性を見せてくれた。
反対に今後に向けての課題は、サイドの深い位置までは
簡単に行けても、そこから崩すパターンがまだ確立されて
いないというところ。
個人でのドリブル突破以外にまだ効果的な崩しは見られなかった。
具体的には、例えば俊幸がカウンター気味に右サイド高い位置で
ボールを貰った場合、後ろから上がってくる健介くらいしか
パスコースがないというところ。
もしくは河野、晃誠あたりが近くに来たとしても、
俊幸の横でワンツーを狙うということしかしない為、
スピードが殺されてしまう。
縦や横の関係だけでは効果的な崩しは難しい。
俊幸の斜め前のスペースを誰かが素早く突く、ということが
出来るようになれば、右サイドはもっとスピード感ある崩しが
出来るようになるはずだ。
まだまだ、その動きを意図的にやろうとしている選手は、
最初から裏を狙い続けている平くらいしか見当たらなかった。
これをチームとして出来るようになれば、
今期のヴェルディは期待できるものになると思う。
開幕戦を観た感想としては、個人的には面白い試みだなと。
だが、これは結果が出ないとフラストレーションを溜める人が
続出しそうだという感じ。
こういうサッカーを目指す上で必要なのは、サポの我慢。
結果が出るようになるまでどれだけ我慢できるか、
これは重要な要素だろう。
逆に結果が出てくれば気持ちいい試合が見られるはずだ。
早く結果が出てほしいところだ。
次は昇格組の北九州。なんとしてでも勝利を!