その日は当日中に帰宅が出来れば問題はなかったのですが、それでは流石に家人に気が引けるので、私はゆるゆると帰り支度を始めました。
「そろそろ帰ろうかな?」
「今何時?」
「22時10分」
「駅まで送って行くよ」
「えっ、いいよ。駅までの道のり分かるし遅い時間だから」
「いいよ、送って行くよ」
「いいから、わざわざ外に出なくても部屋でゆっくりしていて。今朝帰国したばかりで疲れているでしょ?」
「いや、俺部屋に居ても何もすることないから」
明さんは今夜そのままホテルに泊まることになっているので、私は気を遣ったつもりでしたが、まだ私とお喋りをしたかったのでしょう。
私と明さんは部屋を出て駅に向かいました。
道路には所々水溜りが残っていましたが、雨は上がり夜空は晴れ渡っていました。
時折笑いながらたわいのない話をして、そこでは人目を気にすることもなく一緒に歩きました。
程なくして駅の改札口に着きました。
「じゃあまた来月!また連絡しますね」
「うん、また連絡して」
私は改札口を通って電車のホームに向かいました。
翌朝明さんに早速メッセージを入れました。
【おはようございます。昨日は色々とありがとうございました。心も身体も結ばれたひととき。今も余韻を噛み締めています。
またお会い出来る日を励みに来月の仕事を頑張ります】
【嬉しいお言葉ありがとう。私も同じ気持ちです】