Feel A Song Coming On/Joni James | 風景の音楽

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“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。


令和3年1月31日(日)
Feel A Song Coming On/Joni James(★★★★★)


Side 1
1.'Deed I Do    2:03
2.You Came A Long Way From St. Louis    3:27
3.Fly Me To The Moon In Other Words    3:23

4.I Feel A Song Comin' On    1:43
5.Lullaby Of Birdland    1:59
6.You Do    2:12

Side 2
1.On The Sunny Side Of The Street    2:21
2.My Melancholy Baby    3:31
3.Basin Street Blues    2:44
4.I Got It Bad (And That Ain't Good)    2:49
5.By The Way    2:52

6.September In The Rain    1:39

Joni James(vo), Jimmie Haskell(arr)

Recorded 1962
Released by MGM Records ‎– E4053(mono) / Disk Union DIW-3015(stereo)

一月もいよいよ今日で終わりだ。
今月の降雪は一度しかなかったが
冬の寒さが年々薄らいでいるのを感じる。
今年はたまたまシベリア寒気の南下が進んだのだ。

これはいつまでも続くことはないだろう。
植物や昆虫には長期に及んで未来予測する力がある。
部屋の中で暖房してぬくぬく生活していては
そういう予知力は着きそうにない。

ジョニ・ジェイムスの62年録音。
オリジナルはMGM、これはディスク・ユニオンの94年復刻版。
残念ながらデジタル・リマスタのステレオ盤だ。
ジャケットはDIWらしくしっかりしている。

DIWは限定プレスでジョニのシリーズ復刻をしているが
なかなかすべてが揃わぬ。
ようやくこれが手に入り、やれ嬉しや。
眼の覚めるようなくっきりとしたカッティングだ。

ジミイ・ハスケルの編曲はずいぶん現代的だが
ジョニの歌声は若い時分とちっとも変わらぬ。
ちょっと鼻に掛かった潤いのある歌声だ。
これはジョニが32歳の録音だ。

この2年後にジョニは夫の看病のために34歳で引退した。
2010年にカムバック・アルバムを出しているが
なんだか怖くて手を出していない。
ジョニの魅力は54年の初LPからずっと可憐なままだ。

30歳を過ぎても変わりのない“乙女声”がたまらぬ。
ジョニは媚びを売るような歌い方とは無縁だ。
ずっと10代の少女のような雰囲気を持ち続けている。
こういう歌唱が出来るのはジョニだけだ。

オケ伴がどんなに煽っても
ジョニの立ち位置は乙女のままで揺るがぬ。
ジョニはスタンダードからカントリイ、民謡、ポピュラーと
とても幅広いアルバムを展開している。

それがMGMの商売戦略だったが
ジョニが何でもこなしちまうからケチのつけようがない。
おかげでさまざまなジョニの魅力を味わうことが出来る。
これはジョニのJazz盤の中でも断トツのアルバムだ。

裏面の“On The Sunny Side Of The Street”の軽やかなスイング感は
さすがとしか言いようがない。
“My Melancholy Baby”のスロウ・バラードでの愛くるしさには
もう呆然としちまう。

古き佳き米国の伝統をそのままに伝えてくるジョニ。
バンド・メンバの名前が判らぬが、そこがMGMの
エライところである。
バンドマンのネーム・バリュで引っ張ろうなんて仕掛けをしない。

久々に手に入れたジョニ、まことにヨロシイ。
このアルバムでは片面6曲を連続して歌っている。
“スタジオ・ライブ”的なアルバムになっているのだ。
終曲の“September In The Rain”の心地よさよ、珈琲がウマイ。