遠野物語 その8二〇 この兇変の前にはいろいろの前兆があった。 男どもが刈って置いていたかいばを出そうと、三つ又のの鍬くわにて掻かきまわしたところ、大なる蛇へびを見つけた。 これも殺すなと主人が制したが、いうことを聞かず、打ち殺した。 その後からも、かいばの下に無数の蛇がいて、うごめき出てくるのを、男どもが面白半分にことごとくこれを殺してしまう。 それを処分するところがないので、屋敷の外そとに穴を掘って、これを埋うめ、蛇塚を作った。 その蛇は、竹籠に何杯と数えられないくらいいたという。