医学的な毒の定義は、大きく分けて2つあります。
1つは、生体に有害な作用を及ぼす物質を毒とする定義です。この定義では、毒の量や摂取経路、個人の体質や健康状態なども考慮して、有害な作用が現れるかどうかを判断します。
もう1つは、生体に有害な作用を及ぼす可能性のある物質を毒とする定義です。この定義では、毒の量や摂取経路、個人の体質や健康状態などの条件によっては、有害な作用が現れる可能性があると判断される物質も、毒に含まれます。
なお、漢方医学における毒の定義は、西洋医学とは異なります。漢方医学では、生体の正常な生理機能を阻害しているものを毒と定義します。例えば、水代謝が阻害された状態を水毒、血液の異常を血毒、気の異常を気毒と呼びます。
具体的には、以下のようなものが毒に該当します。
生物由来の毒動物の毒液(蛇毒、昆虫毒など)
菌類の毒素(フグ毒、青酸化合物など)
植物の毒素(リコピン、ソラニンなど)
化学物質重金属(鉛、水銀、カドミウムなど)
農薬(殺虫剤、除草剤など)
工業用化学物質(有機溶剤、放射性物質など)
医薬品誤飲・過剰摂取によって有害な作用を示す医薬品
毒の摂取経路としては、以下のものがあります。
経口摂取(口から摂取する)
吸入(鼻や口から吸い込む)
経皮吸収(皮膚から吸収する)
眼から摂取する
注射
毒の作用としては、以下のものがあります。
急性中毒摂取後すぐに症状が現れる
重症化すると死亡する可能性もある
慢性中毒摂取後しばらく経ってから症状が現れる
長期にわたって摂取すると、健康に悪影響を及ぼす
毒の治療としては、以下のものがあります。
解毒剤の投与
対症療法
支持療法
毒の予防としては、以下のものがあります。
毒物や有害物質の取扱いに関する教育
毒物や有害物質の保管・管理の徹底
安全な作業環境の整備
毒の知識を身につけて、自分や周囲の人々を毒から守りましょう。